「火の鳥」というタイトルを持つ作品は、ストラヴィンスキー、伊藤整、美川憲一などさまざまな人によって発表されているが、なかでももっともポピュラーなのは手塚治虫の作品だろう。手塚にとって「火の鳥」は、新進気鋭のマンガ家だった20代から、60歳で亡くなる直前まで、掲載誌を何度か変えながらも描き続けられたまさにライフワークだった。「火の鳥」のシリーズ全体を通しては、火の鳥を狂言回しに過去と未来を交互に描きつつ