これ、読む人によって感銘を受ける箇所が違う小説なんだろうな。羽生飛鳥『歌人探偵定家 弐百人一首推理抄』(東京創元社)は、二〇二四年に『壱』が刊行されて現在は創元推理文庫入りしている作品の、続篇にあたる連作短篇集だ。題名にも名前が出ているとおり、主人公は藤原定家である。「新古今和歌集」の撰者として、日本歌壇史にその名を刻んだ人物が探偵役を務めるという趣向だ。定家は生涯の長きに渡って『明月記』