年齢を重ねるごとに、小池真理子氏の小説が心に響くようになったのはどうしてなのだろう。ごく平凡で起伏の少ない人生を歩んでいる私ではあるが、気がつけばそれなりに経験が積み重なっている。心温まる出来事も、胸が痛くなる出来事もさまざま見聞きしてきた。生きてきた半世紀の間に街の風景も価値観も変化して、懐かしく思うものも忘れてしまいたいものも増えて、初めて小池真理子作品を読んだ二十代の頃には、思いもよらなか