BOOK STAND
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【今週はこれを読め! エンタメ編】中西智佐乃の中編集『狭間の者たちへ』に引きずり込まれる!
2篇の中編が収録されている。主人公たちの中にあるいくつかの小さな黒い感情が、徐々に集まってきて、大きくてほぐれないかたまりになっていく。リ…
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【今週はこれを読め! ミステリー編】この凄まじいサスペンスを読め!〜デイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』
このぞわぞわする気持ちを、ぜひみなさんにも。デイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』(東京創元社)は、一九九〇年にイギリス・デヴォンで生…
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なぜ「発達障害もどき」は増えている? その背景と改善法を臨床経験35年以上の小児科医が解説
近年、発達障害と呼ばれる子どもが劇的に増えているといいます。文部科学省のある調査によると、2006年の時点では全国で7000人足らずだった発達障害…
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【今週はこれを読め! コミック編】まちまちな三人の下町散歩〜かつしかけいた『東東京区区』
空が広くて、坂がない。いわゆる「下町」と呼ばれる東京23区の東部に引っ越して、何より体感したのはその二つだった。特に川のほとりを歩いた時の「み…
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「人生は遺伝で決まる」は嘘だった!? 科学的見地から解き明かす「本当の才能の見つけ方」
皆さんの中に、「生まれ育ちで決まるから人生は無理ゲー」「才能は遺伝によるものだから努力しても無駄」と思っている人は少なくないのではないでし…
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【今週はこれを読め! ミステリー編】今すぐ絶対読むべき短篇集〜近藤史恵『ホテル・カイザリン』
小説が放つほのかな光が、作者の影を浮かび上がらせている。『ホテル・カイザリン』(光文社)は、近藤史恵がさまざまなアンソロジーなどに発表した…
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【今週はこれを読め! エンタメ編】幼なじみとの自然体の会話〜川上 弘美『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』
主人公と話がしたい。最近心に引っかかった出来事のことなどを、ゆるゆると話しながら日本酒を飲みたい。そして、しばらく会っていない友達とも、お…
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「高い目標」と「低い目標」、やる気が上がるのはどっち? 脳神経内科医が「やる気を科学的に上げるコツ」を伝授
私たちの長い人生の中で、「やる気が出ない」状況というのは往々にして訪れるものです。東京屈指のオフィス街・神田で心療内科のベスリクリニックを…
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日本の新聞黎明期、体を張った変装潜入取材で世間を沸かせた女性記者たちがいた――。
今も圧倒的に男性の数が多く、男性中心とも言われるマスコミ業界。明治時代の新聞黎明期ともなれば、婦人記者は各社片手で数えられるほどしかいませ…
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【今週はこれを読め! SF編】ポストヒューマンSF「タコですがなにか」〜伊野隆之『ザイオン・イン・ジ・オクトモーフ』
ロールプレイングゲーム発祥のシェアワールド〈エクリプス・フェイズ〉の世界設定に基づいて書かれた連作集。伊野隆之は2009年に『樹環惑星 --ダ…
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【今週はこれを読め! エンタメ編】現実を突きつけて来る短編集〜桐野夏生『もっと悪い妻』
「悪妻」を描いた短編集だ。現実を突きつけて来るラストに、モヤモヤしたり、ビクッとしたり、共感したり、呆れたり......、さまざまな感情が味わえ…
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川口浩探検隊とは何だったのか? 制作関係者の証言からテレビの本質に迫ったルポタージュ
「その謎を解明すべく、我々はアマゾンの奥地へ向かった――」とは、今もネットでよく見る表現。昭和の時代に育った皆さんなら、元ネタが『水曜スペ…
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【今週はこれを読め! ミステリー編】ピーター・スワンソンの勝負作『8つの完璧な殺人』
私どもにできるものは全部ここに詰め込みました。お客様、どうぞご覧ください。そんな作者の声が脳内に再生されるのであった。もちろん妄想で。で…
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歴史のウラに酔っぱらいの権力者あり? 核爆弾の使用やカンボジア侵攻を決断した大統領とは
あなたは酒の席で失敗した経験があるだろうか? 友人との飲み会の失敗談なら笑い話で済むが、相手が会社や取引先となるとそうはいかないだろう。中…
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【今週はこれを読め! SF編】カーニヴァルをめぐる、少年の高揚と畏れ
ブラッドベリが1962年に発表したダークファンタジイ長篇。日本では長らく大久保康雄訳が親しまれてきたが、こんかい、全面的な新訳がなされた。訳…
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【今週はこれを読め! エンタメ編】鈴木涼美『浮き身』の鋭利な表現力にしびれた!
注意深く、観察するように書く作家だと思う。建物にも、部屋の調度品にも、薬物にも、食べ物にも、男にも、女にも、匂いにも、自分の心の動きにも、…
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頭のよさとは話す前にどれだけ立ち止まれるか。コンサル歴22年の著者が明かす「思考の質の高め方」
企業の相談役として、クライアントとなる社長や経営者から信用を得ることが何より必要とされるコンサルタント。これまでデロイト トーマツで12年間…
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サンディエゴ・コミコン(SDCC)『ジュラシック・パーク』スペシャル・イベントが想像を超えた!
7月19日から23日、米・西海岸サンディエゴで開催されたサンディエゴ・コミコン(SDCC)に行ってきました。そして今回、SDCCと連動する形である映画の…
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暴力団の家族として生まれ育った14人の「ヤクザ・チルドレン」の壮絶な生き様
暴力団(ヤクザ)の存在は知っていても、自分とは無関係の世界に生きる人たちだという認識の人がほとんどではないだろうか。ヤクザをテーマにした映…
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【今週はこれを読め! SF編】メガトン級の怪獣エンターテインメント
TVの町歩き番組で、食べ物屋を訪れた出演者が名物メニューを前に、「これ、絶対旨いやつ!」と大喜びをする演出がよくある。台詞としてはじつに紋…
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【今週はこれを読め! ミステリー編】静と動を備えたシリーズ前日譚〜青崎有吾『アンデッドガール・マーダーファルス4』
アンファル3こそ青崎有吾の代表作。そう言い続けてしばらく経つ。アンファルこと『アンデッドガール・マーダーファルス』は講談社タイガで刊行さ…
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【今週はこれを読め! コミック編】ふしぎとリアルで新鮮な風景がひろがる〜いけだたかし『旅に出るのは僕じゃない』
観光客があふれる最近の街を見ると、新型コロナウィルス以前を思い出す。一方でその風景を眺める自分はと言えば、旅気分にはまだ遠い。国内もさること…
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【今週はこれを読め! エンタメ編】ゆるくて鋭い社内政治小説〜津村記久子『うどん陣営の受難』
社内政治がテーマ、と言われると心が熱くなる企業小説を思い浮かべる方もいるかもしれないが、そういう作品ではない。不気味さと奇妙なゆるさとが共…
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藤井聡太を見守る師匠の眼差し...... 天才棋士の師匠は「つらい」?
棋士の藤井聡太氏といえば、テレビやSNSのニュースで目覚ましい活躍を目にする機会が多い。2023年6月1日に報じられた「史上最年少で名人&七冠獲得…
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行方不明者発見までの軌跡 民間の山岳遭難捜索チーム代表が語る、捜索実話
「命の危険性がある山」と聞くと、北アルプスやマッターホルンに代表されるような高く険しい山を思い浮かべるかもしれません。けれど、身近な里山と…
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【今週はこれを読め! SF編】飛行船をめぐる既視感、交叉するふたりの青春
作者の出身地でもある茨城県土浦を舞台にした青春SF。夏の空に浮かぶ飛行船の印象が清爽な主旋律として、物語全体を貫いていく。いまは2021年、…
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全部盛りの私立探偵小説〜S・J・ローザン『その罪は描けない』
私立探偵小説ファンが求めるものはここに全部入っている。S・J・ローザン『その罪は描けない』(創元推理文庫)はそういう小説である。全部、…
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「弱いアメリカ」しか知らないZ世代は新時代をどう動かす? 気鋭の国際政治学者による初の新書
Z世代とは、1997年ごろから2012年ごろまでに生まれた世代を表す言葉。2023年現在、10代から20代半ばぐらいまでの人たちが該当します。彼らの大きな…
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1300年前に生まれた日本最古の歌集「万葉集」を今の若者言葉&奈良弁で訳したら......?
「万葉集」といえば、1300年前に当時の都だった奈良で生まれた日本最古の歌集。国語や日本史の授業で習ったものの、歌の内容については特に興味を持…
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【今週はこれを読め! SF編】口、耳、目、肉、鼻、髪、肌......身体器官から異常領域が広がる
異色のダークファンタジー『残月記』で日本SF大賞と吉川英治文学新人賞をダブル受賞した小田雅久仁の新刊。七篇を収録した短篇集でそれぞれの作品…