バーチャル・ガールフレンドに心理分析されるなんてまっぴらごめんだ
「紹介します。こちらがアプリ内彼女です」
ブラスト・セオリーが仮想世界のライフコーチ兼ストーカーおまけに異常なほどの愛情を持ったガールフレンドが登場するアプリを発表した。なんとなくスカーレット・ヨハンソンのあの映画を彷彿させる。彼女の名はカレン。「her/世界でひとつの彼女」のようにスカーレットが演じたかすれたセクシーな声こそ持ち合わせてはいないが、カレンはあなたを心理的に分析していくのである。
ブラスト・セオリーは、英国ブライトンを拠点に活動するアーティストグループである。彼らの興味は、ユーザーに応答するアプリの開発にあたり、いかにビッグデータ(大容量かつ多様なデータ)を活用できるかといったところにある。そこで開発されたのが質問やゲーム、日常会話を通してユーザーの性格や内面を探っていく「カレン」という女性である。彼女は、お馴染みの心理プロファイリングテストを基にした質問を用いてユーザーの真の人間像に迫っていくのである。
カレンは、コミュニケーション可能なHDビデオを通してユーザーに話しかけてくる。ビデオは毎日配信され、画面を触ったりメッセージを送信したりすることができるのだ。嫌ならば無視することもできるし、「後でかけ直して」と頼むことも可能である。カレンに費やす時間が増えるほど、彼女もそれに応じてくれるというわけである。
ビッグデータによってさらに個人的に
しかし利用するには注意が必要である。なぜならこれはビッグデータ活用の実験的アプリであり、ブラスト・セオリー側にとってはビッグデータの可能性を試す単なるテストに過ぎないと考えているらしいのだ。Kickstarterキャンペーンでは、「あなたを知れば知るほど、カレンはあなたにのめり込んでいきます」と宣伝し、「彼女はあなたを知り過ぎてしまった…あなたを待ち受ける結末とは?」と意味深だ。賛同者になった場合、ユーザーの経験形成へのデータ使用方法が教えてもらえるという。
カレンの主な特徴は、「今日はどんな日でしたか?」といった質問の答えやほかの要素から想像されるユーザーの性格に合わせて応答を返す点である。
ブラスト・セオリーはブログ内でこう語っている。「私たちは、プレイヤーや参加者またはユーザー(もしあなたが麻薬取引者/インターフェイスデザイナーである場合)を取り巻く環境の中で、どのように芸術が形成されるのかを探求しています。そして、文化の中からプロファイリングや個性化の構成するより多くの要因を把握したいと願っています」。
ブラスト・セオリーによると、「ユーザーに関わる重要な情報」を推測することで、最終的にはカレンが「創意に富んだ有意義な方法で得た経験則に自らを適応する」ことがゴールであるという。
しかしカレンという女性が私を混乱させるのは、心理プロファイリングやビッグデータの活用といった点ではない。彼女を単に「あなたに好意がある友達」という位置付けにしながら、彼女がユーザーを知れば知るほど、どんどん「強烈」になっていく点である。うーん。
カレンよ、私がそれほどあなたに魅力を感じることはないだろう。しかし、世の中には「あなたに好意がある友達」という謳い文句を勘違いして、彼女を純粋に魅力的なイギリス人仮想ガールフレンドとして自慢しだす人々が沢山出てくるのではないだろうか。どうか注意を払って欲しいものだ。
ブラスト・セオリーがKickstarterで目標の15,000ユーロに達成した場合、試作品段階を経て実際の開発に進むことができるようになる。現在iOSのみでの展開を予定している一方で、彼らの最終目標はAndroidでも利用可能にできることであるという。
編集者注:この記事は ReadWrite のパートナー Kill Screen によって公開されたものです。
Jess Joho
[原文]