中国政府・外交部の華春瑩報道官は12日の記者会見で、ベトナム国内で「わが国漁船が領海内で中国船にぶつけられ、放水されるなどの攻撃を受けた」との報道があったことについて、ぶつけて沈めた事実は発生していなかったと説明した。

 ベトナムの複数の新聞が10日付で、同国北部沖のトンキン湾の領海内で、操業中のベトナムのイカ釣り漁船が6日、中国の船から衝突されたり放水されたりしたと報じた。

 華報道官は11日の記者会見でも同件についての質問を受けたが「見ていないので、状況を知らない」と回答を避けた。

 12日の記者会見では、改めて「昨日も記者からの質問がありましたが、最近になりベトナムの漁船1隻がトンキン湾で中国の船にぶつけて沈められたとのことです。中国側はこの件を知っているのですか」との質問が出た。

 華報道官は「中国側の関連部門の調査により、あなたが言った状況は発生しなかったと確認したと言える」と述べ、ベトナムにおける報道を否定。「ベトナムの個別のメディアがデマを捏造して煽り立てている。下心があってのことだ」と批判した。

 ベトナム紙の報道によると、中国船にぶつけられたために3人が軽傷を負ったが、漁船はハイフォンの港に戻った。

 12日の記者会見で記者は、「中国船がぶつけて沈めた(中国船只撞沈)」との言葉で質問したが、ベトナムにおける報道とは違う内容だ。華報道官が質問部分に訂正を加えず、単に「あなたが言った状況は発生しなかった」とだけ答えた。なぜ、「ぶつけたが沈めてはいないとの主張」と受け止められかねない問答にしたのかは不明。(編集担当:如月隼人)