楽天・嶋基宏が連覇のキーマンに挙げるふたりの投手
連覇を狙う東北楽天ゴールデンイーグルスですが、昨年24勝(0敗)をマークした田中将大が抜け、厳しい戦いを強いられることは間違いありません。当然、気になるのは、「田中の抜けた穴を誰が埋めるのか?」ということですが、これについて、正捕手である嶋基宏はどう考えているのか、聞いてみました。
「昨シーズン、田中が作った24の貯金は、みんなで力を合わせて補っていかないと埋まらない数字です。先発ピッチャーはひとつでも多くの勝利を挙げ、リリーフはひとつでも失敗をなくしていくことが大事になってきます」
嶋が言うように、田中の穴をひとりで埋めることはできません。シーズンを通して、少しずつ積み重ねていくことが大事になっていきます。そのためにも、まずは先発陣の整備が重要になってきます。
田中のあと、エースとして期待されるのが、昨年15勝を挙げ新人王を獲得した則本昂大です。まだ2年目ですが、実力、実績とも十分。とにかくケガをすることなく、1年間ローテーションを守ってもらわないといけない投手です。彼の活躍なしで、連覇はないと思っています。
その則本に次ぐのが、昨年の日本シリーズでMVPに輝いた美馬学と、左腕の辛島航です。ふたりとも昨年は故障で離脱したこともり、多少の心配はありますが、キャンプでは力強いボールを投げていました。
美馬は「田中の抜けた穴を埋められるように、とにかく1年間離脱しないようにしたい」と語り、開幕に向けてしっかりと体を作っていました。辛島は、紅白戦でも好投して、順調にキャンプを過ごしています。「今年は開幕から頑張ります」と言っていたその表情は、自信に溢れていました。彼らに関しては、普通にシーズンを通して投げることができれば、10勝する力は十分にあります。彼らにとっても、今年は重要なシーズンになるでしょう。
則本、美馬、辛島の3人については、「何も心配していません。開幕に向けて自分の調整をしてくれたら大丈夫」と、嶋も信頼を寄せています。ただ、長いシーズンを考えれば、この3人だけでは厳しい。そこで、嶋が期待する投手は誰なのか聞いてみると、次のような答えが返ってきました。
「永井怜と塩見貴洋。このふたりにはやってもらわないと困ります。もちろん、若手投手にも期待しているのですが、彼らは過去にローテーションを守った実績のあるピッチャー。彼らの経験というのは、今の楽天投手陣にすごく必要なものだと思っています」
永井は、2009年に13勝、2010年に10勝をマークするなど、楽天投手陣の中心的存在でした。ここ数年はケガの影響もあって、納得のいく結果を残せず、昨年も2勝しか挙げられませんでした。一方の塩見は、ルーキーイヤーの2011年に9勝を挙げましたが、2年目は6勝と苦しみました。そして昨年は左肩の故障もあり一軍での登板はありませんでした。
ただ、嶋が言っていたように、彼らはやってもらわないと困る投手であり、ケガさえなければローテーションに入る力は十分にあります。キャンプを見ていても、彼らの今年に懸ける思いは十分に伝わってきました。ブルペンでも精力的に投げ込んでいましたし、力強いボールを投げていました。
永井に話を聞くと、「まだまだですね。これから、どんどん調子を上げていきたいです。今年はやらないと」と語っていましたが、昨年とは違い「今年はやれる」というような表情が印象的でした。
塩見も「肩の痛みもないですし、怖さもありません。しっかり腕も振れてきましたし、昨年の悔しい思いを今年は晴らしたいと思います。ローテーションをつかみにいきます」と力強く語ってくれました。
この他にも、新外国人のブラックリー、ベテランの上園、昨年4勝の戸村健次、2年目の森雄大、そしてルーキーの松井裕樹など、ライバルはたくさんいます。当然、彼らとの競争に勝たなくてはいけません。嶋は次のように語ってくれました。
「2ケタとは言いません。7~8勝してくれれば十分です。みんなで競争です」
おそらく嶋は、「先発が最低でも6回ぐらいまで投げてゲームを作ってくれれば、あとはうまくやりくりできる」と考えているのではないでしょうか。そういった意味でも、ローテーション経験のある永井、塩見は貴重な戦力になると思います。
田中の抜けた穴は確かに痛いですが、ピッチャーにとってはそれだけチャンスが増えたことになります。嶋がキーマンに挙げた、永井、塩見もこのチャンスを生かし、再び輝いてほしいですね。もちろん、彼らをリードする嶋も、間違いなくキーマンのひとりです。
山村宏樹(元楽天イーグルス)●文 text by Yamamura Hiroki

