ソニー、北米で電子書籍事業から撤退 「Amazon一強」は避けられないのか
パソコン事業売却やテレビ事業の分社化を進めるなど、「選択と集中」による経営再建を狙うソニーが、電子書籍事業にも大なたを振るった。
電子書籍ストア「ReaderStore」の北米市場からの撤退が明らかにされ、既存ユーザーは楽天傘下の「Koboストア」に移行することになった。
撤退は現在のところ北米のみだというが、Kindleに押されている国内も危ないのではないか、といった感想がネットで出ている。
購入済みの本についてはKoboストアからアクセス
米ソニー・エレクトロニクスが2014年2月6日に発表した。3月20日にはアメリカとカナダの「Reader Store」を閉鎖予定で、購入済みの本についてはKoboストアからアクセスできるようになる。今後ソニーから登録ユーザーにメールが送信され、Koboへの移行方法などが案内される。撤退に伴いXperiaスマートフォンやタブレットには、Readerのアプリに代わってKoboアプリがプリインストールされる予定だ。
ソニーは北米で2006年9月に専用端末ソニー・リーダーを投入するなど、電子書籍の取り組みを早くから積極的に進めてきた。アメリカのほかにも、イギリス、ドイツ、フランス、オランダなど海外で広く展開し、2010年に国内に「再参入」の際には、世界で14番目の地域だったほどだ。しかし近年では強力なプラットフォームを持つアマゾンに押され、13年に出た最新の「Reader」端末もアメリカでは発売しなかった。
北米市場からの撤退を受けて心配されているのは、日本の「Reader Store」の今後だ。ネットでは、
「国内も時間の問題でしょうなあ。にしてもkoboとは…」
「こういう報道が出ると、もう日本でも全く売れなくなるだろ」
「Sony Readerに暗雲が……。たぶん日本国内にもゆくゆくは影響出てくるよね。やっぱりAmazon一強になるのかなぁ」
などの感想が出た。
インプレスR&Dが2013年12月19日に発表した、国内の電子書籍ストアの利用率に関する調査結果によれば、「Reader Store」を現在利用している人の割合は5位の11%だ。1位はアマゾン「Kindleストア」(55.2%)、2位はアップルの「iBookStore」(17.5%)、3位は紀伊国屋書店の「Kinoppy」(13.5%)と続く。
シャープ公式ツイッター「重いニュースです」
撤退発表の翌日となる2月7日、日本の「Reader Store」は、「今後ご提供予定のサービスのほんの一部をご案内」した。
「2014年 春頃iPhone、iPad、iPodをお使いの皆様、大変お待たせしております。いよいよ書籍コンテンツにも対応予定です」
「2014年 新緑の頃〜夏にかけて パソコンで読書を楽しめるサービスを準備しています。パソコンで本を選んで、すぐに読むことができ、今まで以上に読書を楽しむ環境が拡大します」
と2014年のロードマップを示して、専用端末以外の環境整備を急いでいる。
国内サービスは継続されることになったが今回の一件は、同業他社にとって対岸の火事ではないようだ。シャープの電子書籍ストア「GALAPAGOS STORE」の公式ツイッターは、
「もちろんGALAPAGOS STOREの電子書籍事業&B2B事業向けも進化継続ですが…重いニュースです。 これ以外の電子書店さんも、今春に閉店のお知らせを頂いている。重なるな…)」
と書き込んだ。近ごろ電子書籍ストアの終了が続いており、ローソンの「エルパカBOOKS」は2月26日に閉店、NTTソルマーレ「地球書店」は3月31日までだ。