『この本読んで元気にならん人はおらんやろ 熱い三人とゆる〜い一人、アホ四天王からの入魂メッセージ』水谷もりひと(監修)、中村文昭(談)、 しもやん(談)、てんつくマン(談)、大嶋啓介(談)/ごま書房新社

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巷では、AKB48のシングル『鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの』のタイトルが「長すぎる!」と話題になった。
本でも、村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』というタイトルがかなり長いと話題になった。
では、この本のタイトルはどうだろう。

『この本読んで元気にならん人はおらんやろ 熱い三人とゆる〜い一人、アホ四天王からの入魂メッセージ』

46文字とかなり長めである。
本書は、中村文昭さん・しもやんさん・てんつくマンさん・大嶋啓介さんという、4人の熱きおじさんたちの講演内容を一冊にまとめたものである。

なぜ、この4名の講演内容をまとめ、出版することになったのか、出版元である「ごま書房新社」の池田社長に聞いてみた。
「この4名の方の講演会は、どの会場も満員、主催者も参加者も『熱い』ことで知られています。そして、本書の監修者『みやざき中央新聞』の編集長である水谷もりひと氏も“魂のひと”ですが、その『みや中新聞』に掲載された4氏の紙上講演を1冊にまとめたものです」

4名の何がそこまで人を惹き付けるのだろうか。
たとえば、本書の最初に紹介されている中村文昭さんは、何のために仕事をするのか、仕事をしてどういう人間になっていきたいか、家庭を作り、どういう子供を育てていきたいかを講演を通して伝えている。

中村さんは、18歳の時、三重県から上京したが、夢もやりたいこともなく、フリーターとして生活をしていた。そんな時、田端さんという方に偶然出会い、何のために仕事をしているのか聞かれたが、特に夢なども持っていなかったため「メシ食うていかなあかんやないですか。お金になる仕事をやっていかんと始まりませんわ」と答えた。

しばらくそんな会話を続けると、田端さんはこう言う。
「あんた、若いくせに、やたら言葉の端々にお金、お金って言葉が出るなぁ」
「同級生が大学に行ったり、きちんとした仕事に就いたりしている中で、お前はフリーターやりながら空回りしている。自分は同級生と比べて劣っていると、お前はそう思って焦っているんだろう。だから、お金を如何に儲けようか、その入り口のことばかり考えている。だけど本当に大切なのは出口なんだ。何のためにお金を使うか、どうお金を生かしていくかなんだよ」

それを聞いた中村さんは衝撃を受け、それまでいかに楽をしてお金をもらうか、いかに好きなことをして生きていくかだけを考えてきたが、「どんな人間になりたいのか」を先に考えるようになったそうだ。

「どんな人間になりたいか」ということはふと考えてみたりはするが、実際は日々の仕事や生活に追われ、特に目標も持たずに時間が過ぎてしまう。
本書に紹介されている4名に共通していることは、人生を一生懸命楽しんでいるということだが、「人生を楽しめ」というのはよく聞くし、自分も自分の人生を楽しみたいと思う。それでもなかなか上手くいかない。でも、人生には色々な出来事があって、様々な人との出会いがある。それをどう活かすか、そのヒントが本書には詰まっていると思う。

「なんだか上手くいかないなぁ」と思った時は、是非本書を手に取って、4人の熱きおじさん達のメッセージに目を通してもらいたい。「こうすればいいのか!」という打開策が見つかるというお約束はできないが、鬱々とした気持ちが少し軽くなることだろう。
(薄井恭子/boox)