住民の9割が満足とは、やはりパリは人々を魅了する街だった

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パリジャンはパリのことをどれくらい好きなのか。パリジャンの90%が「満足」と答え、そのうち58%は「とても満足」と答えたそうだ。否定的な回答は7%、「どちらでもない」は3%で、肯定的でない返答は合わせて1割にとどまる。今回の結果は仏ヌーベル・オブセルバトゥール誌が、調査会社IPSOSを通じて調べたアンケートで明らかになった。この調査を各項目別に見ていくと興味深い点も色々と見えてくる。パリジャンはパリのどのような部分に満足しているのだろうか。

パリといえばまず思い当たるのが芸術の都としてのイメージ。その印象通り文化施設や文化的催しについては、90%のパリジャンが「肯定的」と答えた。また商環境や街の活況についても「肯定的」とした人は8割を超え、「否定的」「どちらともいえない」を大きく上回った。

日本と比べればパリの公共交通機関は問題も多いが、路線バスについては80%が「肯定的」、14%が「否定的」、6%が「どちらともいえない」とし評価する人は多かった。家庭ゴミの収集も82%が「肯定的」と答えた。

ではパリジャンはどのようなパリが嫌いなのか。その1つがマイカー環境だ。パリの駐車場について、77%の人が「否定的」とした。市内には各所に公共の地下駐車場はあるものの、路上駐車場は満車であることが常で、なおかつ隙間なく縦列駐車されている。そのため出る時は、前後の車をバンパーで押してスペースを作り、出車させる場合もある。さらにモータリゼーション以前に造られた歴史的街並は、交通循環という点では評価は低く、こちらも72%が「否定的」と答えた。

パリの住宅事情も評価は良くない。72%が「否定的」、25%が「肯定的」、3%が「どちらともいえない」と答えている。市内の大気も67%が「否定的」、27%が「肯定的」、6%が「どちらともいえない」とし(大都市ゆえに仕方ないことだが)否定的な意見が多い。

反応が分かれた項目は、託児所に預ける年齢の子供にとっての環境だ。42%が「否定的」、28%が「肯定的」、30%が「どちらともいえない」と答えた。

これら意見を総合すると、パリでの生活は満ち足りたものであるものの、子供が大きくなるまでは地方で暮らし、パリに住む際は車を使わず公共交通機関を利用し、豊富な文化施設やイベント、ショッピングなどの恩恵を受けるのが、効果的な暮らし方のようだ。
(加藤亨延)