バイヤーの仕事って!/野町 直弘
バイヤーの仕事って何だろう?単に必要なモノを必要なトキに最適な価格で買うだけではありません。
先日、財務省が主催する政府関係法人の会計事務職員向けの研修で「民間企業における調達の取組み」について講義をさせていただく機会がありました。
以前より私は「公共調達も民間調達も目的や業務の流れなどは同じであり、同様の課題を抱えている。たた法的な制約もあって異なる点も数点ある」ということをこのメルマガでも書かせていただきました。
この異なる点とは何でしょうか。大きく4点ほど上げられます。
まずは優先順位です。公共調達における一番の優先項目は「公平・公正な取引」です。
所謂「公平な競争機会の提供」になります。一方で民間調達ではやはり「最適なサプライヤ選定・価格決定」が第一優先となります。
2点目は「調達計画」の考え方です。「公共調達」では計画的な調達という考え方は稀薄です。つまり案件毎に調達を行うという考え方になります。一方で「民間」では計画的な調達を行うことでボリュームを集約する等でより有利な調達条件を得ようとします。もしくはより効率的な調達を行うことを求めます。
3点目は専門組織化です。前回のメルマガでも触れましたが欧米では専門組織である調達・購買部門が関与する「管理可能な支出金額」を増加させることをより進んだ調達組織は追及していると書きました。この考え方の根底にあるのは専門家集団による専門組織を作ることです。公共調達においては契約担当が設置されていますが、彼らは調達・購買の専門家ではありません。
4点目はサプライヤマネジメント/ユーザーマネジメントの視点です。継続的な取引を前提としていない公共調達ではサプライヤとの関係性をどう構築するか、というようなサプライヤマネジメントの必要性はありません。また民間では「開発購買」のようにユーザー部門に対して仕様の最適化を図るためのサプライヤ提案や仕様の提案が調達・購買部門の新しい役割として認識され始めていますが、公共調達では「仕様」は要求元が決めるものです。これもユーザーマネジメントの不要性につながっています。
ここまで整理してみると、何か違和感を感じます。
実は民間調達においても「調達計画」や「専門組織化」「サプライヤマネジメント/
ユーザーマネジメント」が不十分な企業が大半です。つまり民間企業の数年前の状況は公共とほぼ同じシチュエーションだったということに気が付くのです。
従来民間では社内のどこかの部門から調達してほしいという所謂手配書や要求書が発行されると、対応可能なサプライヤを(できれば複数社)探し、そのサプライヤに対して見積り依頼を行い、見積を受領、赤鉛筆型交渉を何度か行った上で最終合意、契約もしくはPOの発行を行い、納品、検収、支払という一連の業務を行っていました。
それに対して数年前よりコモディティ(品目別)マネジメントという概念が入ってきて「調達計画」にそってまとめ契約を専門部署でやろうということになります。発注先の選定に関してもできるだけ調達部門として「コモディティ(品目別)マネジメント」の意思を入れながら選定を行っていこう、というのが出発点です。
しかし、このような単純は「手配業務」に「コモディティ(品目別)マネジメント」という概念が入ってきたのはそんなに昔の話ではありません。
一方で「コモディティ(品目別)マネジメント」という概念が入ってきますと「継続的な取引」を前提とする調達・購買業務になりますし、必ずしも全ての品目で購買企業側が強い訳でもありません。また場合によっては事業戦略上あまり評価が高くないサプライヤから調達しなくてはならないない場面も出てきます。そうすると「サプライヤマネジメント」という概念が必要になってきます。一方で「コモディティ(品目別)マネジメント」を行っていくと如何に最適な仕様設定を行うことが必須か、という課題にも突き当ります。
このような課題から「ユーザーマネジメント」という概念が出てきます。
「ユーザーマネジメント」と「サプライヤマネジメント」は密接な関係があります「ユーザー」はどうしても使いやすい「サプライヤ」との取引をしたがります。一方で調達・購買部門は適正にサプライヤマネジメントをすることで最適なサプライヤ選定なり関係性づくりを「ユーザー」に理解させ進めなければなければなりません。一方で「ユーザーマネジメント」が上手く機能しなければ調達・購買部門は自己中心的な「サプライヤマネジメント」しかできなくなります。このように「ユーザーマネジメント」と「サプライヤマネジメント」は相互に密接な関係があります。
突き詰めて考えると現代のバイヤーの仕事はこの3つ「コモディティ(品目別)マネジメント」「サプライヤマネジメント」「ユーザーマネジメント」のマネジメントに帰結します。
またこれらの3つのマネジメントの有機的連携を作りあげることが仕事の殆どとも言えます。それではこれらの3つのマネジメントにそれぞれどれ位の時間をかけるべきでしょうか。
データ的な裏付けもありませんし、調達している品目や成熟度によっても異なるでしょうが、この3つのマネジメントに同じ程度に時間をかけるのが理想的な姿と言えるでしょう。
組織によってはこの3つのマネジメントを複数の担当者で分担している場合もありますが、一度こういう3つのマネジメントの視点で業務を点検するのも面白いのではないでしょうか。
先日、財務省が主催する政府関係法人の会計事務職員向けの研修で「民間企業における調達の取組み」について講義をさせていただく機会がありました。
以前より私は「公共調達も民間調達も目的や業務の流れなどは同じであり、同様の課題を抱えている。たた法的な制約もあって異なる点も数点ある」ということをこのメルマガでも書かせていただきました。
まずは優先順位です。公共調達における一番の優先項目は「公平・公正な取引」です。
所謂「公平な競争機会の提供」になります。一方で民間調達ではやはり「最適なサプライヤ選定・価格決定」が第一優先となります。
2点目は「調達計画」の考え方です。「公共調達」では計画的な調達という考え方は稀薄です。つまり案件毎に調達を行うという考え方になります。一方で「民間」では計画的な調達を行うことでボリュームを集約する等でより有利な調達条件を得ようとします。もしくはより効率的な調達を行うことを求めます。
3点目は専門組織化です。前回のメルマガでも触れましたが欧米では専門組織である調達・購買部門が関与する「管理可能な支出金額」を増加させることをより進んだ調達組織は追及していると書きました。この考え方の根底にあるのは専門家集団による専門組織を作ることです。公共調達においては契約担当が設置されていますが、彼らは調達・購買の専門家ではありません。
4点目はサプライヤマネジメント/ユーザーマネジメントの視点です。継続的な取引を前提としていない公共調達ではサプライヤとの関係性をどう構築するか、というようなサプライヤマネジメントの必要性はありません。また民間では「開発購買」のようにユーザー部門に対して仕様の最適化を図るためのサプライヤ提案や仕様の提案が調達・購買部門の新しい役割として認識され始めていますが、公共調達では「仕様」は要求元が決めるものです。これもユーザーマネジメントの不要性につながっています。
ここまで整理してみると、何か違和感を感じます。
実は民間調達においても「調達計画」や「専門組織化」「サプライヤマネジメント/
ユーザーマネジメント」が不十分な企業が大半です。つまり民間企業の数年前の状況は公共とほぼ同じシチュエーションだったということに気が付くのです。
従来民間では社内のどこかの部門から調達してほしいという所謂手配書や要求書が発行されると、対応可能なサプライヤを(できれば複数社)探し、そのサプライヤに対して見積り依頼を行い、見積を受領、赤鉛筆型交渉を何度か行った上で最終合意、契約もしくはPOの発行を行い、納品、検収、支払という一連の業務を行っていました。
それに対して数年前よりコモディティ(品目別)マネジメントという概念が入ってきて「調達計画」にそってまとめ契約を専門部署でやろうということになります。発注先の選定に関してもできるだけ調達部門として「コモディティ(品目別)マネジメント」の意思を入れながら選定を行っていこう、というのが出発点です。
しかし、このような単純は「手配業務」に「コモディティ(品目別)マネジメント」という概念が入ってきたのはそんなに昔の話ではありません。
一方で「コモディティ(品目別)マネジメント」という概念が入ってきますと「継続的な取引」を前提とする調達・購買業務になりますし、必ずしも全ての品目で購買企業側が強い訳でもありません。また場合によっては事業戦略上あまり評価が高くないサプライヤから調達しなくてはならないない場面も出てきます。そうすると「サプライヤマネジメント」という概念が必要になってきます。一方で「コモディティ(品目別)マネジメント」を行っていくと如何に最適な仕様設定を行うことが必須か、という課題にも突き当ります。
このような課題から「ユーザーマネジメント」という概念が出てきます。
「ユーザーマネジメント」と「サプライヤマネジメント」は密接な関係があります「ユーザー」はどうしても使いやすい「サプライヤ」との取引をしたがります。一方で調達・購買部門は適正にサプライヤマネジメントをすることで最適なサプライヤ選定なり関係性づくりを「ユーザー」に理解させ進めなければなければなりません。一方で「ユーザーマネジメント」が上手く機能しなければ調達・購買部門は自己中心的な「サプライヤマネジメント」しかできなくなります。このように「ユーザーマネジメント」と「サプライヤマネジメント」は相互に密接な関係があります。
突き詰めて考えると現代のバイヤーの仕事はこの3つ「コモディティ(品目別)マネジメント」「サプライヤマネジメント」「ユーザーマネジメント」のマネジメントに帰結します。
またこれらの3つのマネジメントの有機的連携を作りあげることが仕事の殆どとも言えます。それではこれらの3つのマネジメントにそれぞれどれ位の時間をかけるべきでしょうか。
データ的な裏付けもありませんし、調達している品目や成熟度によっても異なるでしょうが、この3つのマネジメントに同じ程度に時間をかけるのが理想的な姿と言えるでしょう。
組織によってはこの3つのマネジメントを複数の担当者で分担している場合もありますが、一度こういう3つのマネジメントの視点で業務を点検するのも面白いのではないでしょうか。