Twitter株式公開で明らかになった5つのこと

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Twitterが恐れているもの:スパムとサーバーの過負荷。恐れていないもの:特許とウォール・ストリート投資家たち

Twitterの新規株式公開(IPO)申請が公になり、「TWTR」という銘柄コードで取引されること、10億ドルの調達を計画していることが明らかになった。そして同時に、我々がこれまでに知らなかった事実もいくつか明らかになった。


1. Twitterはウォール・ストリートよりユーザーを優先


Twitterは今のところ採算が取れていない。今年の前半には6930万ドルの純損失を計上しており、状況から判断するとしばらくは赤字を続ける覚悟のようだ。Twitterは正直に、短期的な業績よりもユーザーを繋ぎ止める努力と技術革新に引き続き注力すると宣言している。


投資家やアナリストは冷静になる必要がありそうだ。Twitterは、投資家を幸せにするために株式公開するわけではないと宣言したのだから。同社はユーザーと広告主の幸せに焦点を当てることで利益が影響を受けるかもしれないと述べている。さらに興味深いことに、Twitterはユーザーと広告主の利害が一致しなかった場合、ユーザーを優先するつもりだとも言及している。以下はTwitterの声明。


これらの決定は投資家の短期的な期待とは一致しない場合があり、ユーザーの拡大やユーザーの関与、当社と広告主の関係性によっては当社が期待する長期的な利益も得られず、当社のビジネスや業績にダメージを与えるかもしれない。さらに当社が顧客のエクスペリエンスを優先することによって、現在または将来の広告主との関係に良くない影響が生じる可能性もある。そうなったら広告主は減少し、当社の収益および業績は悪化するだろう。


2. ディック・コストロの大幅な報酬カット


TwitterのCEOは2か月前、自らに対して大幅な報酬カットを行い、彼の年収は20万ドルから1万4千ドルになった。同社は理由を明確にしていないが、アップルのスティーブ・ジョブズが長年1ドルの報酬しか受け取っていなかったことに対するオマージュのようにも見える。


しかし、CEOのコストロに同情する必要はない。晩年はアップルから株式報酬を受け取らなかったジョブズと異なり、コストロは840万ドルの価値がある株式報酬を受け取っており、2012年のオプション評価額は290万ドルだったのだから。TwitterのIPOが計画通りに進んだ場合、株式報酬の価値は間違いなく跳ね上がるだろう。


3. スパムは致命的


ユーザーと同様に、多くの会社がスパムに悩まされている。しかし、スパムの存在が命取りになるビジネスは滅多にないだろう。


Twitterはその数少ない例である。同社はスパムに当てはまるツイートについて、詳細な分類を行っている。


ユーザーに一方的なメンションを多数投稿する、同じツイートを何度も投稿する、誤解を招くようなリンク(例えばマルウェアやクリックジャッキング・ページへのリンク)や虚偽または誤解を招くような内容、積極的なフォロー/アンフォローやユーザーのリスト追加、招待の送信、不適切に注目を集めるためのリツイートやお気に入り登録


Twitterはスパマー(スパム投稿を行う人)に対し、可能な限りあらゆる抵抗を続けているが、ユーザー数が増えるにしたがってスパマーたちもより活発になるだろうと推測している。Twitterの推定によればユーザーの5%がボットか偽アカウントだという(推定が間違っている可能性もあるが)。スパムの存在がユーザー解析を歪曲させ、Twitterの全体的な業績を正しく認識することを難しくするのだと同社は述べている。


4. クジラの絵はまた現れるかも


最近、Twitterのサーバー過負荷時に表示されるクジラの絵をあまり見かけなくなったのではないだろうか。しかし同社は、サーバーの過負荷については引き続き心配している。同社は実際、様々なデータセンター間を横断するトラフィックのバランスをうまく管理できていないため、サービス停止の可能性に関して驚くほど脆弱だということを認めている。


当社はインフラの容量、性能、信頼性の向上に向けて多大な投資を行っているが、当社のプラットフォームをサポートしている共同設置のデータセンターを介した均等なトラフィックの供給は今のところ行えていない。したがって、当社のネットワーク・トラフィックの大部分をサポートしているデータセンターで重要な問題が発生した場合、当社の製品およびサービスへのアクセス、または当社の製品およびサービスから外部へのアクセスが困難になる可能性がある。


2012年6月にデータセンターで2つの並列システムが故障し、2時間の間サービスが停止したことがある。Twitterは、これと似たようなことが再び起こり得ると述べている。これは当社にとって危険なネガティブ広告となる。


例えばTwitterのサービスが停止すると、各メディアで大々的に報道される。このようなネガティブ広告は当社ユーザー基盤の規模や信頼性に悪影響を及ぼし、収益の低下につながる。当社のビジネスや業績にとって非常にマイナスである。


5. 特許は改革促進のために使う


Twitterは同社の特許を、特許侵害の申し立てに対する自己防衛のためにのみ使用する旨を、規約のなかでも文書化している。


Twitterは去年の6月に、IPA(Innovator’s Patent Agreement)と呼ばれる特許契約を発表した。IPAとは、Twitterが発明者の同意なしには同社の特許を他者への攻撃目的で利用できないことと、防衛目的で特許を利用する際の方法を定めたものである。この制限はTwitterの全特許に対し遡及的に適用され、特許が売却または独占的にライセンスされた場合も継続する。この件についてTwitterは、「特許を第三者に売却またはライセンス供与する上で、当社の能力が制限される可能性がある」と言及している。


Twitterが自らに課したこの枷は、完全に合法的な権利侵害の申し立てをも妨げてしまうと同社は述べている。発明者の一人がTwitterを辞めた後、Twitter在籍中に発明した技術を使用する会社を立ち上げたときでさえ、Twitterは他の会社が最初に訴訟を起こさなければ、特許侵害の訴えを起こすことができなかったのである(ただし、元従業員に対して企業秘密や契約違反など、権利侵害以外の理由で申し立てを行うことは可能)。


Selena Larson
[原文]