反転授業の活かし方(前)/寺西 隆行
教育の新しい手法として、最近話題になってきた感のある「反転授業」。
その課題と、課題解決の切り口などについて整理してみました。


※本記事は、(株)Z会勤務の筆者の個人的な見解です。

9月24日、朝日新聞朝刊にドーンと掲載され、「教育」カテゴリの話題の中でバズワード化した「反転授業」。


家で動画見て予習、「反転授業」試行へ 佐賀・武雄市(asahi.com)


反転授業、という言葉自体は、去年くらい、からでしょうか、僕の耳にもよく入ってくるようになった言葉で、物理の講師をされている田原真人さんも、今年1月から、「反転授業の研究」というブログを綴られていますし、様々な実践もされています。

今回の武雄市の取り組みについては、田原さんがツイッターで述べた
“反転授業に対しては、賛否いろいろありますが、僕の姿勢は、まずは、「やっている人の話を聞く」そして、「試しにやってみる」。そうすると、想像もしなかったことが次々と出てくる。”
と同感で、「実際に(試験的に)やってみる」ってこと、大事なんじゃないかなあ、と、素直に思います。

教育手法は様々あり、従来のティーチング型の教授法では、想像力や問題解決力を磨けない、などという欠点の指摘をされる方もいらっしゃるわけですから、これまで培われなかった力を培うことにチャレンジすることは素晴らしいことだと思うんですよね。
E-Learningの可能性を追求され続けてきた田原さんも、ツイッターで
“予備校講師として14年間、授業を磨きに磨いてきて、一方で、ネット予備校でE-Learningの可能性を9年間追求してきて、それらの経験を踏まえた上で思う。「反転授業」には大きな可能性がある。”
と述べられていますし。


さておき、反転授業そのものについて。
繰り返しになりますが、教育手法は様々なものがあって良く、生徒に一番「その先生なら」響く手法を選択すればいい、というのが、僕の基本的な姿勢なので、反転授業という教育手法が「在る」こと自体は肯定的に受け止めています。

一方、初めて「反転授業」という言葉を見て、意味を知った時に
「そんなに新しい教育手法かな?」と思ったのも確かです(だから、ちょっと今年に入っての「反転授業」という言葉の扱いは、バブルってる感じがします)。
なぜかは簡単で、僕自身の小中高校時代の学習スタイルが、自宅で予習をして、学校は自分の理解が正しかったかどうかを確かめる場だったからなんです。
「普通に予習をして、学校で授業を受けるのと何が違うの?」
これが以前より持っている、「反転授業」についてのイメージです。

ただ、僕自身、勉強が好きで運動嫌いの、モテないヤサ男という、いわゆるいやーな子供だったため(苦笑)、僕のやり方が万人に通用するとは思えません。
また、僕のやり方で進めた時、僕自身は、授業そのものに不満を感じるときもありました。

そんな自分自身の経験と重ね合わせると…
「反転授業」という言葉が「いま」取り上げられ、そして試行されることには、「いま」という時代にマッチし、僕の時代よりも効果が見込める(そしてその効果が時代から要請されている)部分も大きいのではないかな、と思うところがあります。

その理由は3点に集約できるかな〜と思っていたら、武雄市の反転授業の朝日新聞の記事を最後までしっかり読むと、記事上で「3つの課題」としてあげていたことと内容がシンクロし、かつ、iPadの活用で先駆的な、俊英館の小池幸司さんがFacebook上で投稿された課題意識と一緒でした。