熱く走る。熱く働く。/喜田 真弓
職種によってそれぞれやりがいは異なるが、営業職には営業職ならではのやりがいがある。結果が数字で現れるのでわかりやすいし、成約したときの達成感は他の職種では得られない。提案した内容がお客様に受け入れられ喜んでもらえたり、お客様から信頼され、必要とされていると感じた時など、純粋にこの仕事をしていてよかったと感じる瞬間だ。

【話を良く聞くこと、相手に合わせることを実践する営業マン】
株式会社アシスト システムソフトウェア事業部 営業統括部 営業1部 鈴木 克宏 ( Katsuhiro Suzuki)
― 2000年、アシストに入社。全員技術配属と言われながら配属されたのは営業職。以降、所属部門は西東京支店、金融営業部、第1支社、そして現在はシステムソフトウェア事業部の営業統括部と一貫して営業を担当。


もちろんいつも好調とは限らないし、スランプは誰にでもある。それでも営業という仕事を続けていけるのはその動機付けとなる大きなやりがいがあるから。営業職とは純粋に人とのコミュニケーションで成り立っている、人間らしい仕事だとアシストの鈴木克宏は思っている。


「入社以来営業職です。これまで大きなスランプというのはなかったですが、強いて言えば、きつかったのは仕事に慣れた3、4年目。自分では一生懸命やっているつもりなのに成約に結びつかず、お客様からも、もっと組織や課題について勉強してくるように厳しく言われました」


アシストは企業の情報システム部が利用するコンピュータ・パッケージソフトウェアの販売とサポートが主な業務で、お客様とのフロントは営業職が責任を持って担当することになる。具体的には、客先にお伺いして課題をお聞かせいただき、それを持ち帰って技術職と解決方法を模索し、提案することがミッションでもある。提案力を強化するためにもヒアリング能力は欠かせない。お客様が鈴木に言ったのはそのことだった。


「自分なりに勉強もしましたし、営業スキルアップのためのノウハウ本も読みました。本を読むとその時はそこに書かれている手法に納得するのですが、実践しても期待したほど成果は上がりません。本に書かれたテクニック以前に、営業にはもっと大切なことがあるんじゃないかと自分なりに試行錯誤を重ねてきました」


もともと鈴木は人前に出て率先して話すタイプではない。鈴木がとった行動はお客様の言葉をより積極的に傾聴し、それを無心で受け止めることだった。お客様が話されることをすべて素直に聞く。簡単なことのようだが仕事に慣れてくると、お客様が話している途中でもあれこれ考えたり、こうではないかと判断を加えたりしてしまう。そうしたい気持ちを抑えて、常に新しいことを聞くかのようにお客様と接する。そうすることで、なに気ない会話から大切なことが見えてくるようになってきたと鈴木は言う。


「話を良く聞くこと、相手に合わせること、そうしているうちにお客様の課題や組織が少しずつよくわかってきます。いろいろなテクニックを使うのはそれ以降の問題で、基本はしっかり受けとめることです。もちろんどんなにがんばっても報われないこともありますが、それでもお客様を信じて一生懸命聞くことを続けていればきっといいことがあると思っています」


鈴木は今年、忘れられない成約を果たした。10年前に「もっと勉強するように」と鈴木を叱咤激励してくれたお客様が、半ば諦めていた案件をアシストに決めてくださったのだった。いや、鈴木自身は最後の最後まで諦めてはいなかった。ただ、そのお客様の会社で企業統合があったため、さまざまなコンピュータ・システムやツールもそれにあわせて統合され、お客様にとっての製品の供給元がアシストだけではなくなるという事実があった。