「研修だけでは得られないこと」/野町 直弘
コモンセンスの重要性とは。
先日私が尊敬する先輩バイヤーの講演を聞きに行きました。
この方がおっしゃったことの一つに「バイヤーは交渉前に十分な準備を行う必要がある」という話を強調していました。準備の中には例えば対象となる購買品のコストがいくら位であるか、事前に推計しておくこと、も含まれています。
そういうお話しをされていた中である出席者の方からこういう質問がありました。
「そういうことができる能力のあるバイヤーは限られた人間で大多数はやり方がわからない。どうやってコストを調べればよいのでしょうか?」
それに対してこの先輩バイヤーがまず答えたのは「人材のスキル向上のためにはバイヤー向けの研修をもっと充実させる必要がある」ということでした。
確かに研修をすることでコスト分析などのコスト推計の一般的な方法やヒントを知ることはできます。
しかし重要なのはコスト分析のためのデータをどのように集めるかですしデータが集められなければ分析を実施することはできません。
このように研修をうけることがそのまま解決策につながるとは言えません。例えばどんなに学ぶ機会を与えても学ぶ気がない、もしくは実践しようとする意識がなければ実行にはつながらないのです。
日本企業は研修にあまり時間とお金をかけていないのでそこにもっとかけるべきだ、ということは否定しません。しかし、部員全員に研修を受けさせることができる企業は限られているでしょう。
2011年まで実施していた調達購買部門長向け調査の中で「経営陣からの期待に応えられていない調達購買部門の理由は何か」を聞いています。
そこでは約70%の企業が人材の量とスキルが不足しているということを理由として上げています。
そうすると教育のためのプログラムを作り、研修をうけさせれば問題が解決するのか、というとあまりにも短絡的すぎますし実際には解決しないでしょう。
そうこうするうちに同じ参加者が別の質問をしました「だとすると技術やモノが分かる技術者の方が調達・購買門にはむいているのですか?」
数年前の同じ調査でバイヤーの事務系の比率は60%程度だったと記憶しています。
私自身も私の周りの優秀なバイヤーも事務系の方も多くおります。そう考えると
「そりゃあ技術が分かっていれば有利だよね」程度の話でしょう。
その質問に対してその先輩バイヤーはこう答えました。「そんなことはない。『コモンセンス』を持っていれば良い、と。」
そう『コモンセンス』なんです。『コモンセンス』は日本語では常識と訳されますが、ここで言っている意味は「常識」とはやや違った意味合いがあります。正にCommon「共通の」Sense「感覚、価値観、判断力」という意味です。
つまり研修をうけるにしてもそこから何かを学ぼうという(当たり前の)姿勢です。
また交渉前の準備における交渉計画の作成や落としどころの推計なども(常識的な)判断力と知恵があればやり方は自分で考えることができます。
研修で教える手法はあくまでも業務のやり方のヒントを教えるだけであり、実行させることにはつながりません。研修の翌日から学んだことを試行してみるためにはそれを試行しようとする(常識的な)問題意識や価値観がなければやらないでしょう。
また応用することや手法を考えることも『コモンセンス』があれば殆ど解決可能と思われます。
磨かなければならないのはこの『コモンセンス』なのです。『コモンセンス』を持っている人は研修でヒントを学ぶと自分で応用し手法を積上げていけるのです。
何でも人から教えてもらうのではなく『コモンセンス』を鍛えて自ら考える力を持つことがバイヤーには求められているのではないでしょうか。
先日私が尊敬する先輩バイヤーの講演を聞きに行きました。
この方がおっしゃったことの一つに「バイヤーは交渉前に十分な準備を行う必要がある」という話を強調していました。準備の中には例えば対象となる購買品のコストがいくら位であるか、事前に推計しておくこと、も含まれています。
そういうお話しをされていた中である出席者の方からこういう質問がありました。
「そういうことができる能力のあるバイヤーは限られた人間で大多数はやり方がわからない。どうやってコストを調べればよいのでしょうか?」
それに対してこの先輩バイヤーがまず答えたのは「人材のスキル向上のためにはバイヤー向けの研修をもっと充実させる必要がある」ということでした。
確かに研修をすることでコスト分析などのコスト推計の一般的な方法やヒントを知ることはできます。
しかし重要なのはコスト分析のためのデータをどのように集めるかですしデータが集められなければ分析を実施することはできません。
このように研修をうけることがそのまま解決策につながるとは言えません。例えばどんなに学ぶ機会を与えても学ぶ気がない、もしくは実践しようとする意識がなければ実行にはつながらないのです。
日本企業は研修にあまり時間とお金をかけていないのでそこにもっとかけるべきだ、ということは否定しません。しかし、部員全員に研修を受けさせることができる企業は限られているでしょう。
2011年まで実施していた調達購買部門長向け調査の中で「経営陣からの期待に応えられていない調達購買部門の理由は何か」を聞いています。
そこでは約70%の企業が人材の量とスキルが不足しているということを理由として上げています。
そうすると教育のためのプログラムを作り、研修をうけさせれば問題が解決するのか、というとあまりにも短絡的すぎますし実際には解決しないでしょう。
そうこうするうちに同じ参加者が別の質問をしました「だとすると技術やモノが分かる技術者の方が調達・購買門にはむいているのですか?」
数年前の同じ調査でバイヤーの事務系の比率は60%程度だったと記憶しています。
私自身も私の周りの優秀なバイヤーも事務系の方も多くおります。そう考えると
「そりゃあ技術が分かっていれば有利だよね」程度の話でしょう。
その質問に対してその先輩バイヤーはこう答えました。「そんなことはない。『コモンセンス』を持っていれば良い、と。」
そう『コモンセンス』なんです。『コモンセンス』は日本語では常識と訳されますが、ここで言っている意味は「常識」とはやや違った意味合いがあります。正にCommon「共通の」Sense「感覚、価値観、判断力」という意味です。
つまり研修をうけるにしてもそこから何かを学ぼうという(当たり前の)姿勢です。
また交渉前の準備における交渉計画の作成や落としどころの推計なども(常識的な)判断力と知恵があればやり方は自分で考えることができます。
研修で教える手法はあくまでも業務のやり方のヒントを教えるだけであり、実行させることにはつながりません。研修の翌日から学んだことを試行してみるためにはそれを試行しようとする(常識的な)問題意識や価値観がなければやらないでしょう。
また応用することや手法を考えることも『コモンセンス』があれば殆ど解決可能と思われます。
磨かなければならないのはこの『コモンセンス』なのです。『コモンセンス』を持っている人は研修でヒントを学ぶと自分で応用し手法を積上げていけるのです。
何でも人から教えてもらうのではなく『コモンセンス』を鍛えて自ら考える力を持つことがバイヤーには求められているのではないでしょうか。