セミナー受講者からの質問への解答は、すべてロクでもない。しかし、それが良いのだ。


「そりゃわかんないよ」。セミナーで質問を受けた際の、心のつぶやきです。これから、奇妙な論理展開の話をします。「セミナー中に出る質問は答えようがない」「だから、講師の答えも適当になる」「しかし、それが良い」と、妙なものです。では、始めます。


セミナー中にご質問をいただくことがあります。大きく二つにわければ、「さっき説明をもっと詳しくしてほしい」「自社はこういうことに困っているのだが、どうすれば良いか」です。もちろん、前者はセミナー講師として答える義務を負っているでしょう。説明をお聞きいただき、納得して帰ってもらう必要があるのですから。


しかし、やっかいなのが、後者です。「自社はこういうことに困っているのだが、どうすれば良いか」と質問されたとき、本音では、答えようがありません。たとえば、「私たちはこういう製品の納期遅延に困っているのだが、どうすればよいか」とのご質問には、「詳細を確認しないとなんともいえません」しか、答えとして本来はありえないはずです(よね)。「サプライヤが見積り詳細をなかなか出してくれないのですけれど、どうすればよいでしょうか」とのご質問には、「両社の関係性や、そもそもの見積依頼書や、お互いの言い分を詳細に聞かないとなんともいえません」が、おそらく真摯な答えのはずです(よね)」。


私だけではなく、すべての講師の答えは「適当」にならざるを得ません。しかし、私は、それが良い、という意見です。なぜならば……。


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