改正労働者派遣法が10月1日に施行される。これに伴い、30日以内の短期派遣や日雇派遣が原則禁止となるほか、グループ企業への労働者派遣制限(8割規制)、マージン率等の情報公開などが事業者には義務付けられる。施行を前に各地の労働局では、派遣先、派遣元の担当者などの関係者を対象に「労働者派遣法改正法セミナー」を8〜9月に集中的に開催し、各種手続きや業務運営の変更点について説明を行う予定だ。

 こうした派遣規制の強化を受けて、派遣スタッフの実稼動者数は、2012年1〜3月期の対前年同期比は95%(日本人材派遣協会の労働者派遣事業統計調査)となるなど減少が続いている。

 2010年から実施されている「専門26業務派遣適正化プラン」によって、付随的な業務に対する厳正な是正指導などがあったことも影響し、「機器操作関係(5号)」は、対前年同期比78%と激減傾向が続いていており、2010年同期の半分近くになっている。

 また、人材派遣を営む事業所の減少も顕著だ。一般労働者派遣事業所数は、毎月100〜200事業所の減少が続いており、2012年7月では1万9198事業所となっている。前年同期年の2万989事業所から約8.5%減(1791事業所の減少)、2010年同期の2万3739事業所から19.1%減(2750事業所の減少)となっている。

 このような大幅な事業所の減少は、新規許可事業所の減少と同時に、許可要件を満たすことがでず更新できない事業者の増加が背景にあるようだ。

 特に財産に関する要件では、資産の総額から負債を控除した額が2000万円に事業所の数を乗じた額以上であること、事業資金として現預金の額が1500万円に事業所の数を乗じた額以上であることなど、リーマン・ショック後に財務が厳しくなった事業者にはかなり厳しい基準であることから、中小事業者を中心に事業所閉鎖や転廃業が相次いでいる。

 今後の改正派遣法の運用次第では、さらに派遣事業所の経営は厳しさを増す可能性がある。

[人材採用・育成の人事専門誌「日本人材ニュースHRN」Vol.152(2012年8月9日発行)より転載] ※記事の内容は取材時点のものです。

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