大手人材サービス会社の業績が好調だ。人材紹介のジェイエイシーリクルートメントが8日、求人サイト運営のリブセンスが14日、相次いで通期業績予想を上方修正した。欧州債務危機でリーマン・ショック時と同様に人材需要が冷え込むことも予想されたが、逆にグローバル化、円高の定着、サプライチェーンの見直しなど、経営環境の激変に危機感を募らせる企業が事業構築に必要な人材を確保しようとする姿勢が、人材会社の業績を押し上げたもようだ。

 成功報酬型のアルバイト求人サイト「ジョブセンス」などを運営するリブセンス(東京・渋谷、村上太一社長)は、14日、業績が好調なことから業績予想を上方修正した。前回発表の通期売上高17億7700万円、営業利益7億1900万円から、売上高が30.7%増の23億2300万円、営業利益が57.6%増の11億3300万円になる見通しを示した。

 修正の理由は、昨年12月7日の株式上場で社会的な認知度と信頼度が向上したことにより、求人情報メディア事業を中心に情報掲載を希望する企業の申し込みが恒常的に増加したことだ。12年12月期第2四半期決算の発表と合わせて、通期の業績予想を上方修正した。

 第2四半期決算は、期初計画を大きく上回り、売上高10億2324万円(前年同期比109.2%増)、営業利益5億6683万円(同148.1%増)の大幅な増収増益を達成した。

 第2四半期累計のサービス導入企業社数は1万8869社で、11年第2四半期比5651社増、12年第1四半期比3815社増となっている。

 今後、同社では下期に「ジョブセンス」で、イメージキャラクターを用いたプロモーション活動をはじめテレビCM等によるPR活動の強化を予定しており、同社の強みであるウェブマーケティングに加え、市場シェアの拡大を目指す計画だ。

 人材紹介大手のジェイエイシーリクルーメントも通期予想を修正した。コンサルタントの生産性向上で上期売上高がほぼ予想に沿った進捗となり、7〜12月の売上高も堅調な推移が見込まれる一方、販売費と一般管理費が当初予算に比べて圧縮が進んだ。

 同社は、「PPP&I」(? Productivity 「生産性の向上」、? Profitability 「利益の絶対額と利益率の向上」、? Professional 「人材紹介コンサルタントのプロフェッショナル化」、? International「日系企業の海外事業、外資系企業、国際人材領域の強化」)を掲げ、過去2年にわたり取り組みを続けてきたが、具体的な成果が表れた格好だ。

 その結果、前回発表予想の通期売上高61億7400万円、営業利益9億1800万円から、今回予想値は通期売上高が0.4%増の62億円、営業利益が34.0%増の12億3000万円に変更した。

 欧州債務危機で人材需要が冷え込むことも予想されたが、逆にグローバル化やサプライチェーンの見直しなど、危機感を募らせる企業が事業構築に必要な人材を確保する姿勢が人材会社の業績を押し上げたもようだ。

[人材採用・育成の人事専門誌「日本人材ニュースHRN」Vol.153(2012年8月24日発行)より転載] ※記事の内容は取材時点のものです。

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