アジアにおける日系企業の現地採用と海外駐在求人数が大幅に伸びていることが、ジェイエイシーリクルートメントの調査で分かった。特に、海外駐在求人数は前年同期比90%増とほぼ2倍になっている。

 アジア5カ国の日系企業の現地採用求人数は、前四半期比8%増、前年同期比で21%増となり2期連続の伸びとなっている。震災以降のサプライチェーンの見直しや円高の定着で製造業では海外移転が進んでいるが、同社の求人においても機械・自動車を中心とするメーカーの人材需要が依然として高いほか、現地マーケットを狙う消費財、サービス、ITなどの新規進出も活発だという。

 日系企業の海外駐在員求人数(日本採用)は、前四半期比22%増、前年同期比90%増と大幅な伸びとなっている。こちらも機械・自動車を中心とするメーカー各社が積極的な採用を実施。消費財、商社、金融、メディカル・バイオといった多様な業界でグローバル要員確保の動きが目立つようだ。

 国別に日系企業の現地採用求人をみると、中小製造業の進出がすすむタイで前四半期12%増、前年同期比56%増と大幅に伸びた。タイ国内の失業率が0.7%(6月)と低い状態が続く中、優秀な人材は争奪戦で確保が難しくなっている。

 国内の消費市場を狙った消費財やIT関連会社の動きが活発なインドネシアでは、前四半期比21%増、前年同期比14%増となった。最近は同国第2の都市スラバヤ周辺への投資が注目を集めているという。

 金融機関のアジア太平洋地域のヘッドオフィスの集中が進むシンガポールでは、前四半期比21%増、前年同期比14%増となった。銀行を筆頭に金融系の求人が伸び、IT関連でもウェブ、ゲーム、コンテンツ関連の新規進出企業を中心とした求人が増加した。

 一方で、中国とマレーシアでの求人数は一服感が強まっている。中国では前年同期比では13%増となったものの、前四半期比では12%減となっている。マレーシアは、前四半期比が5%増、前年同期比2%減となり安定した動きが続いている。

[人材採用・育成の人事専門誌「日本人材ニュースHRN」Vol.155(2012年9月7日発行)より転載] ※記事の内容は取材時点のものです。

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