世界に誇る日本の技術の集大成の一つ、自動車。しかし現在、世界最大の自動車市場となっている中国において、その活躍は全体的に見ればいまひとつといわざるを得ない。このこと自体は以前から多く指摘されてきているし、多くの分析もなされている。

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日本車に対する中国消費者の本音 2012年7月 第1回

 世界に誇る日本の技術の集大成の一つ、自動車。しかし現在、世界最大の自動車市場となっている中国において、その活躍は全体的に見ればいまひとつといわざるを得ない。このこと自体は以前から多く指摘されてきているし、多くの分析もなされている。

 現在、中国市場においては、日産が湖北省・武漢市を中心に、中西部で勢力を高めているのがほとんど唯一の例外で、一時、日本車の代名詞といわれるほど突出した存在だったホンダはここ数年低迷、世界最大のメーカーであるトヨタにしても、今に至るまで本格進出時と同様、「中国市場への出遅れ」が指摘され続けている(指摘内容が変わらないような)状況だ。

 一方で、根強い人気のあるVW(フォルクスワーゲン)、そして世界市場と同じように、中国市場でも支持を集めつつある現代(ヒュンダイ)。GM(ゼネラルモーターズ)、フォードも好調、競合各社は引き続き健在だ。

 なぜ、日本車は中国において人気がないのか。この永遠のテーマに対して、サーチナ総合研究所(上海サーチナ)では、保有しているモニターに対して、「日本車について、良い点でも悪い点でも何でも自由に発言してください」と、掲示板書き込み式の調査を行った。調査時期は2012年7月、有効回答数は1591人。

 集まった発言内容を完全に良いイメージで書き込んでいるものを「良い」、完全に悪いイメージで書き込んでいるものを「悪い」、良い悪いそれぞれで論じているものを「中立」として整理し、集計してみると、全体の54%が「良い」趣旨の発言内容だった。「悪い」は23.3%、「中立」は22.7%となった。

「日本車は第一に、技術革新が速く、新車種のリリースが早い。第二に、ユーザー属性ごとにそれぞれのニーズにあった車両がある。選択肢が豊富。第三に、総じて燃費がよく、快適」(江西省、30歳男性)

「日本車に対するイメージは総じて良好。2006年に日産・ディーダを買ったが、今まで修理に出したことはない。メンテナンス費用も安い。燃費もすこぶる良い。ただ、日本車全体で言えば、ブレーキに対する重視が足りない、例のトヨタの大規模リコールの問題も想起する」(山東省、35歳女性)

「日本車の最大の特徴は燃費の良さ。例えばトヨタ。その多くの車種は良いと思う。ただ、日本車に関するネガティブ報道も多く、特に車体素材やその品質については注視している。だからヨーロッパ系の車を選ぶ」(内モンゴル、22歳女性)

 回答者の属性で見てみると、「良い」で回答が多くなったのは、広州市を含む広東省が62.9%、吉林、遼寧、黒龍江省の東北地域居住者が63.9%となった。広州市だけで見てみると平均よりも若干高いものの57.3%にとどまっていることから、広州市以外の地域の数値が高まったと考えられる。

 逆に「良い」の数値が低くなったのは、上海市が46.6%、北京市が47.1%。四川省や重慶市、陝西省で集計した西部地域でも46.1%にとどまった。35―39歳、40代でも、50%を切っている。(編集担当:鈴木義純)