髪の毛があり、少しピンとこないグレイ・メイナード。いつ世界王者になってもおかしくない力の持ち主が、8カ月ぶりにオクタゴンに戻ってくる

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23日(土・現地時間)ニュージャージー州アトランティックシティのレベルカ・ジノで開催される「UFC on FX04」。そのメインで行われるグレイ・メイナード×クレイ・グイダ戦は、熾烈なタイトル争いが繰り広げられるライト級戦線において、重要なカードといえるだろう。

8月には王者ベンソン・ヘンダーソン×前王者フランク・エドガーの再戦=タイトルマッチが組まれ、その一方で次期挑戦権を巡るトップファイターたちの潰し合いが繰り返されているライト級。現時点ではジム・ミラーに一本勝ちしたネイト・ディアスが頭一つ抜け出し、それに仕切り直しの勝利を収めたドナルド・セラーニらが続く形となっている。

今回が2012年の初戦となるメイナードは、そんなライト級で実績ナンバーワンといえる存在だ。MMA戦績13戦10勝1敗1分1NCという圧倒的な戦績を誇り、前述したネイトやミラーにも勝利。王座獲得前のエドガー、ケニー・フロリアンにも土をつけており、トップコンテンダーを軒並み撃破している。

2011年には当時王者だったエドガーと2度タイトルマッチで対戦し、いずれもMMAの歴史に名を刻むような名勝負を繰り広げた。最初の王座戦ではドロー、2度目の対戦ではTKO負けを喫し、王座獲得はならなかったが、それまでの戦いぶりを踏まえた上で、見方を変えれば、エドガーとの対戦においては相性が悪かっただけという分析も成り立つ。

圧倒的なレスリング力を軸としながら、パンチとテイクダウンに体の上下がない構え。対戦相手はテイクダウンをケアすればパンチをもらい、パンチをケアすればテイクダウンを許してしまう。メイナードのファイトスタイルは負けが想像しにくく、数字で出る戦績以上に安定感を感じさせるものだ。

対するグイダは2006年からUFCで戦い続け、ファイト・オブ・ザ・ナイトやサブミッション・オブ・ザ・ナイトを何度も獲得している名勝負製造機。リスクよりもアグレッシブに重きを置いた戦い方が持ち味のため、それが勝敗に反映されず、トップファイターには勝てない――、下の選手にはきっちり勝つという微妙なポジションが続いていた。

しかし、ジャクソンズ・MMAでトレーニングを積むようになってからは、シャノン・グジェルティに肩固めで一本勝ちした試合を皮切りに4連勝を達成した。五味隆典との一戦では、小刻みなステップとハイキックからテイクダウウンといった身体能力の高さを見せつけ、最後はきっちりとギロチンチョークを極めて一本勝ち。アンソニー・ペティス戦ではしっかりとポイントメイキングをして振り切った。

昨年11月にベン・ヘンに判定負けこそ喫しているが、前に出続ける&アグレッシブといった爆発力だけでなく、最近の試合では随所で丁寧な試合運びや細かな技術を見せている。

昨年のエドガー×メイナードでは、エドガーが驚異的なタフネスとスタミナ、そして5分5Rという試合時間を駆使して、メイナードを攻略したが、ファイトスタイルこそ違えどスタミナや運動量という面でエドガーとグイダに共通点はある。

グイダがより無駄な動きを省き、エドガーのような戦い方でメイナードを消耗させるのか? それとも違うアプローチでメイナード攻略の糸口を掴むのか? 試合のポイントはずばり難攻不落のメイナードを引っ掻き回して、いかにグイダが攻略するかになるだろう。
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