実は昨年秋から筋力強化に努めた。だがパワー頼りの泳ぎは繊細な動きとはマッチせず、かつての手足のバランス重視に戻した。麻積隆二コーチは言う。

「抵抗の少ない泳ぎを追及してきた。水中での推進効率は一番いいのではないか。いろんな経験をして、精神的にも随分、成長したと思います」

 もちろん素材がいいのだろう。父は高校時代にボクシングで鳴らし、母が元スイマーというスポーツ一家に育った。何より、若さが魅力である。平泳ぎ歴としては、まだ2年半なのだ。どこまで伸びるのか。

 世界をみれば、この種目には昨年の世界選手権金メダルのレベッカ・ソニ(米国)が君臨し、あとは横一線である。鈴木を抜けば、おのずと表彰台が見えてくる。

 渡部の涙が乾く。ロンドンの目標を聞かれると、15歳に笑顔がパッと浮かぶ。

「オリンピックに向け、頑張って練習して、表彰台を目指します」

 ピカピカの高校一年生(東京・武蔵野高)。過度な期待は禁物だけれど、どうしても岩崎恭子の再現をロンドンで見たくなる。

■関連記事
マイペースな15歳。一気に成長した渡部香生子がロンドン五輪出場へ前進[02月13日]
寺川綾、2大会ぶり五輪!4年分の「涙」と身につけた「たくましさ」[04月06日]
北島康介、4度目の五輪へ。日本選手権で見せつけた「達人の泳ぎ」[04月04日]