国内外から高い評価を受ける唯一無二の映画作家・井口昇。彼の新作では本誌でもおなじみのアイドルが大変な事態に!?

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『片腕マシンガール』『ロボゲイシャ』、そして『ゾンビアス』……。ここのところ監督作品が立て続けに公開されている、井口昇。バイオレンスの中に笑いとファンタジー色を融合させたその作風が、一部で“和製ティム・バートン”と称されるほどカルト的な人気を誇る、今、注目の監督を週プレが直撃!

――『ゾンビアス』は美少女がオナラで空を飛ぶわ、ウンコまみれのゾンビが襲ってくるわ、ビックリしましたよ! 見ていてニオイが漂ってきそうでしたね……。

【井口】ここまでやったら怒られるだろ!っていうギリギリの映画を撮ってみたかったんですよ(笑)。もともと「寄生虫でゾンビになる」ってコンセプトはあったんですが、ゾンビ映画って星の数ほどあるわけです。とにかくパンチの効いた作品にしたいなってことで、虫に寄生されることでおなかが痛くなって、オナラが止まらなくなる話ってのは新しいんじゃないかって(笑)。

 あと、日本らしさも出したくて、ならばポットン便所だろうと。そこからウンコだらけの怪物が出てきたら怖いなって、子供の頃から思ってたんです。

――こんなに振り切ったゾンビ映画は初めてです! それにしても中村有沙さん、菅野麻由さん、護あさなさんという女優陣の体を張った演技には感動しました。まさかここまでウンコ、オナラにまみれるとは……。特に主演の中村さんの脱ぎっぷりはお見事!

【井口】有沙ちゃんは、まだ12歳だった7年前に『まだらの少女』という映画で撮ったことがあるんです。今回、主役のコは脱げる女のコが前提と考えていたので、そう募集をかけたんですが、彼女が「私、脱ぎます」って言ってくれて。オーディションのときは、お父さん気分で「今回はやめたほうがよくない?」って思ったんですけど(笑)、ボクも今の彼女を見てみたかったのでお願いしました。

――以前、中村さんに取材したら「監督がキレイに撮ってくれるから脱いだ」と言っていましたよ。

【井口】いや〜、うれしいです。でも、今回は彼女に限らず、女優陣の腹のくくり方が素晴らしかった。護さんも当初、トイレシーンではお尻を見せない予定だったのが、本人から「パンツを下ろしたほうが自然ですよね」って言ってきたり。撮影は10日間の合宿ロケでしたが、とにかく現場が明るく、夜になると女のコがスタッフにカレーや豚汁を作ってくれて、こんな内容なのにすごく健全で驚きました(笑)。彼女たちに足を向けて寝られないです。

――裸やウンコは出てくるけど、イヤらしさは感じないんですよね。

【井口】確かにイヤらしくはしたくなかったですね。作品も下品に見せないよう気を使いました。ボク、AVの仕事もいろいろやってきましたけど、露骨なセックスシーンとかがダメなんです。「ウンコ、チンチン、おならブー」的な(笑)、“ドリフ”みたいなエロティシズムを意識しました。日本が誇るゾンビ映画を目指して3歳児の気持ちで作ったので、皆さんには7歳児の気持ちで観ていただきたいです。

――その一方で、女のコの恥じらいの表情もちゃんととらえている。

【井口】そうなんです。ボクにとってのエロティシズムって、女のコの見せるギャップなんです。まさかそんなことしないと思っていたコがしちゃうみたいな、それが基本。昔の男ってアイドルはウンコしないって信じていましたけど、ボクはその頃のまんま。そういうキュン!とときめくようなエロティシズムを撮っていきたいと思っています。ただ、ボクには見る人にトラウマを与えたい、という思いもあるんですよね……。

――見ちゃいけないものを見てしまったような……?

【井口】そうです、そうです。今って、そういう機会が減った気がするんです。昔は子供向けの映画でも残酷なシーンとか、エッチなシーンとかありましたよね。