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1982年、カンフー映画ブームを巻き起こし、ジェット・リーを一躍スターにした歴史的金字塔『少林寺』。さらに29年を経て誕生した『新少林寺/SHAOLIN』は更なる進化を遂げた、これまでにない“感動”を携えた衝撃のカンフー映画だった!

新少林寺

1912年の中国。登封城の将軍・霍龍を追って、馬に乗った軍人たちが少林寺に土足で踏み込んでくる。無慈悲な将軍・侯杰(アンディ・ラウ)は霍龍を撃ち殺し、少林寺を愚弄する。そんな侯杰だったが、腹心の部下である曹蛮(ニコラス・ツェー)の裏切りで最愛の一人娘が命を落とすことに。悲しみに暮れる侯杰を救ったのは、少林寺の厨房係である悟道(ジャッキー・チェン)だった。全てを失いお尋ね者となった侯杰は、一からやり直すために悟道の目の前で髪を切り、出家することを決意する。

最先端のアクションスターと、先人たちの邂逅

本作はこれまでの『少林寺』とはストーリー上のつながりはない。しかしながら、やはり『少林寺』を名乗るだけあり、そのアクションは折り紙つきだ。まず、本作に出演するスターたちが皆只者ではない。少林寺の若僧たちのリーダーを演じるウー・ジンは、香港映画界で"ジェット・リーの後継者"といわれる逸材。さらにその弟弟子を演じたシー・イェンレンは本物の少林寺の元子弟で、こちらも香港では引っ張りだこのアクションスターである。こういった若手に加え、ジェット・リーの全盛時代のスタントマンを勤め、香港映画ファンなら誰もが知るシャン・シンシンが強烈な悪役として登場。極めつけは方丈和尚演じた、ユエ・ハイである。彼こそ元祖『少林寺』シリーズに出演し続けた、このシリーズの原点たる存在なのである。『少林寺』ブームを体験した世代には涙ものの演技をみせてくれる。
無論製作も兼ねたジャッキー・チェンも出演し、おなじみのジャッキーアクションを見せてくれる。加えて、アクション監督は『トランスポーター』等今やハリウッドのアクションには欠かせないコーリー・ユェンが担当。過去から現在までのあらゆる世代を網羅したキャスト&スタッフが終結した、まさにカンフー版『エクスペンダブルズ』の様相を呈した作品でなのである。

CGではない、圧倒的な本物のスケール感

こういったキャストでなくとも、CG全盛の現在であれば迫力あるアクション映画は無数に存在するだろう。
しかし本作は作り物の世界観ではなく、本物の少林寺を再現することにこだわっている。実際に建設されたその総工費は約2億円。しかもその"本物の建物"を容赦なく大爆破してしまう。そのこだわりが、美しい少林寺の風景をつくり出し、暴力の容赦のなさを際立たせ、次々と倒れていく少林僧たちの命の儚さに説得力を与えた。リアリティのあるアクションを標榜してきた監督のベニー・チャン(『香港国際警察/NEW POLICE STORY』)ならではのやり方である。現実感のないハリウッド映画とは一線を画す、まさに本物のスケール感なのである。

すべてを包み込む凄まじい"禅"の精神

新少林寺』が単なるアクション映画に収まらない理由は、このような激しいアクションが全編にちりばめられているにも関わらず、最後まで作品が"禅"の精神に貫かれているからである。登場する僧達は言われもない理由で迫害されるが、どんな悪逆に対しても"南無阿弥陀仏"と唱え、慈悲の心でそれを受け止め、そして散っていくのである。
さらに最も象徴的なのが、アンディ・ラウ演じる主人公・候杰である。登場時の圧倒的な"悪"としての存在感、悔い改めて更なる"悪"を慈悲の心で導く寛容さ。まさに"禅"を体現するこのキャラクターは、あらゆる役柄を経験した彼だからこそ成立している。先にあげたアクションスター達にはカンフーでは及ばないアンディだが、だからこそ人間らしく、私たちがより感情移入もしやすい。

このアンディの"慈悲の心"を浮き立たせる敵役が、これまで"動けるイケメン"として活躍してきたニコラス・ツェーである。若くて野心的な若者が暗黒面に落ち、容赦のない悪逆を尽くす様が"慈悲の心"と恐ろしいまでの対比を見せる。すさまじい悪に禅の精神で挑むアンディ。この二人の対決の末に待っている壮絶な結末は、瞬きをせずに見てほしい。

圧倒的なアクションの興奮と、押し付けがましくない感動が渾然一体となった本作の"泣けるカンフー映画"の看板に、偽りはない。アンディ・ラウが歌うエンディングテーマを聞く頃には、あなたの頬には涙が伝い、慈悲の心に目覚めること請け合いである。さあ、みんなで唱えよう"南無阿弥陀仏"!(藤本洋輔)

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