テトラづくしの店「テト家」。テトぐるみはお財布が許すならいくつか買って、実際に海に並んでいるテトラようにズラッーと重ねるのがオススメ。あなたのソファーがインダストリーな感じになること間違いなしです

写真拡大 (全3枚)

「ニッチマニアの為に勝手に作り続ける」をスローガンに、極地的に興味を持ったモチーフを誰に頼まれたわけでもなくTシャツやてぬぐい等に商品化してくれるアパレルブランド「マニアパレル」さんがまたやってくれました。
明日12月3日(土)、なんと下北沢に旗艦店「テト家」が堂々オープンなのです!
って言っても「マニアパレル???」という方も多いと思いますのでまずはそこからご説明しましょう。

団地、工場、ジャンクション、廃墟、鉄塔、ダム、ガスタンク etc.
わかります? この脈絡のなさそうで、でも全てが共通して持つ重厚なイメージと揺るぎない存在感。無機質なのにそれぞれ個性と独特な雰囲気があって、どこか魅力的なフォルムを持つ面々。2006年に発売されたDVD『ザ・ダム』や、2007年に出版された『工場萌え』の人気以来、そんな巨大建造物・構造物を愛して止まないマニア向けの本、DVD、関連イベントが年々増えてきています。世間一般的に見れば「は?」という趣味だけど、好きな人はとことん突き詰めたい世界。そんなこだわりを持つマイノリティ達に向けて日々勝手にコラボして商品開発に勤しんでくれるのが「マニアパレル」であり、商品の企画・デザイン・製造・販売まで一人でこなすマニアパレル主宰のBAD_ONさんです。
そもそもは前述した『ザ・ダム』DVD発売記念イベント「ダム祭り」において何かお土産を作ろう! と盛り上がり、BAD_ONさんが既存ブランドをもじりながらダムシールやダムTシャツを作ったのがキッカケ。その後、『工場萌え』の出版記念イベント「工場ナイト」でも同様にコンビナートTシャツを作ったところまさかの完売! 買えなかった人からの「ネット通販してくれ!」という依頼からmixi上で販売をはじめ、以降は誰に依頼されるでもなく(依頼される場合もあるそうですが)勝手に商品を作り続けてきたんだとか。

例えば、鉄塔を真下からみた図案(幾何学模様がクモの巣のように見える図柄。鉄塔マニアの間では「結界」と呼んでいるそうです)でデザインした「鉄塔結界てぬぐい」。工場のクレーンをかわいいキリンに見立てた「ガントリークレーン ステッカー」。高速道路フォントでおなじみ・ばんかれ氏とのコラボレーション「高速道路フォントTシャツ」。その他にも、乳首の位置に土鳩の目をあしらいオッパイの大きさによって表情が変わるインタラクティブシャツ「ドバトTシャツ」、以前、エキレビ!でも紹介した前川やくさんプロデュースによる「ご当地ゲバラTシャツ」(あれ? どんどん趣旨変わってきてるw)などなど。
どれもデザインセンスに優れ、普段使いができるのがうれしい商品たちです。これらの商品はジュンク堂書店の新宿店6F(ふるさとの棚内)、池袋店7F(一番奥の奥の奥)で購入することができます。そしてこのほど、マニアパレルのコンセプトショップとして下北沢にオープンするのが「テトラづくし」にこだわった「テト家」なのです。(やっと先頭に話が戻った!)

このお店の売りは文字通り「テトラ」なアイツ。防波堤によくある消波ブロックをぬいぐるみにした「テトぐるみ」をメインに販売しています。1個2,940円で「打ち立てグレー」と「経年変化グレー」(※“劣化”じゃなくて“変化”なのがこだわり)の2色を用意。この“コンクリート感”(布なのに!)を出すのに1年の歳月をかけた逸品です。なんでも日暮里の生地問屋におもむき様々な生地を試したものの、Pコートやダッフルコートの生地だと素材が良すぎてぬいぐるみのようになったり、カシミア入りやアンゴラ入りの生地で試すと肌触りはいいんだけど「ピシッ」としたラインが出なかったり。悩みに悩んだあげくお店の端っこで見つけたのが工業用のフェルト生地。堅さ、肌触り、色…「これだぁー!」と運命の出会いを果たします。
ようやく素材が見つかっても、今度は試作作りで壁にぶつかります。ひとつひとつは手作業で作れても、どうしても“同じもの”にならない(あんな複雑な形、そりゃそうだ)。「インダストリアルもの・インフラのものの造形美って<同じものがひたすらに並んでいる>というポップアート的な美しさにある」というこだわりを持つBAD_ONさん、どうしてもプロの手で量産化したいと東京中のぬいぐるみ工場に連絡を取り、金町の職人工場に頼み込みます。ふわふわ・柔らかく作るのが一般的なぬいぐるみ作りにおいて「ピシっ」とか「ギシギシで」とか「ハードコアに」という聞き慣れないオーダーを出し、「これ、ぬいぐるみにしないとダメなの??」と職人のお爺ちゃんにいぶかしがられながらも、この見事なテトラ型を生み出したんだそうです。

こうして完成した100個のテトぐるみ。楽しくてうれしくて投げたりほおずりしたり普通のテトラじゃできないことをして楽しんで、ソファに並べて写真を撮ってからBAD_ONさんあることに気づきます。「こいつら、この後どうしよう…」
というのも、そもそも売ることは一切頭になく、ただ作りたくてただ写真が撮りたかっただけ、というノリと勢いだけで作ってしまったのです。当初は飲み会ごとにIKEAのバッグに詰め込んでひたすら行商していたそうですが、あるとき「そんな面白いのあるなら持ってきて」とジュンク堂書店に言われて持っていったところ本棚の上にズラーッと並べてくれ、そこからクチコミで人気が広がってこうして専門店ができるまでになったのです。
なお、テト家で扱う商品は「テトぐるみ」だけじゃありません。「テトパーカー」に「テトT」「テトポロ」「テトスカート」のウエア系に、「テ」「ト」「ラ」の文字が隠された「テトラてぬぐい」(キリンビールのラベルに「キ」「リ」「ン」の文字が隠されているアレな感じ)もオススメです。オープン特典として、商品をお買い上げの方先着150名様に限定ノベルティ(「テトはんこ」「テトバッジ」「テトステッカー」)がもらえる他、スコップ型のスプーンで混ぜるとコンクリート色になるココア「テトラドリンク」もサービスでいただけちゃうそうです。

このお店、12月3日(土)4(日)10(土)11(日)17(土)18(日)の14:00〜20:00という期間&曜日限定ショップ。でも、反響次第、リクエスト次第では来年以降も継続するかも? とのことですので、ぜひぜひ皆さん「テトまみれ」になりましょう。
場所は下北沢駅・南口から徒歩5分、お店の軒先には看板を出さず「テトぐるみ」をつり下げて目印にする予定だそうです。
(マニアパレル公式ブログ、テトぐるみ公式ブログからも最新情報や地図が確認いただけます。)

ちなみに、風車ライターとして全国各地の風車を探し求めている私、風車をマニアパレルブランドでどうですか? と売り込んでみたんです。機能美と造形美が同居しているところ。遠くからのシルエットと近くで見た時の異形の存在感とのギャプ。まさにマニアパレルに相応しい! と勝手に思っていたのですが「世界観は確かに似てるけど、風車はもうすっかりメジャーだからなー。ニッチを攻めるマニアパレル的にはちょっと違いますね」とあえなく撃沈しました。さすがニッチマニア、奥が深くて幅は狭いぜ。そこがまたいいんですけどね。(オグマナオト)