写真は瓶で600mlのタイプ。飲む分だけ買って、早めに飲みきって次のを買うのがオススメの飲み方です

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10月26日は何の日だったかご存じでしょうか。原子力の日だったり、青汁の日(10をアルファベットのIOに見たてて「アイオー」→「青」と読み、26が「汁」の語呂合わせ)だったりしますが、一部の日本酒ファンにとっては待ち遠しい「どぶろく」の日でもあるのです。

なぜなら10月26日前後の金曜日より、御園竹・武重本家の「十二六 甘酸泡楽」(じゅうにろく かんさんほうらく)というどぶろくが販売されるからなのです。

このどぶろく。従来のどぶろくのイメージをくつがえす美味しいお酒なのですよ! 甘酸泡楽という名前の通り、口に含むとトロッと甘いお米の味わいが広がり、酸味がキュッと味を締めて、舌の上で踊る炭酸感を楽しむことができる、そんなお酒なのです。甘みと酸味という意味では、トロッとしてアルコールの入っているカルピスソーダみたいな感じと言えばいいでしょうか。

そもそもどぶろくとは何なのか、ここで軽く説明をいたしましょう。基本的にはお米に麹や酵母を加えて作る日本酒がどぶろく(濁酒)になります。いわゆる普段飲まれている透明な日本酒は清酒といって、おおざっぱに言うとこのどぶろくの状態から中のものを濾過したものになります。

なのでどぶろくの中にはもろみとかお米とかがいっぱい入っていたりするのです。そのおかげで非常にとろっとした感じのお酒になるのですね。味は基本的には甘い感じだったり、酸っぱかったりするものが多くなります。

そもそもどぶろくを造るのは非常に簡単です。お米に水と麹とイースト菌とかを入れて発酵させればできちゃうと言っても過言ではありません。昔は農家などでは自分達のところの余ったお米からどぶろくを造り、飲んだりもしていました。ですが、現在では酒税法により、アルコール度数1%以上のものを許可無く造ると法律違反になってしまいます。そのためどぶろくは密造酒の別名みたいに呼ばれることもありました。

もちろん「十二六」はきちんとお酒を造ることのできる免許を持っている酒造が造っているので安心して飲むことができます。いわゆる「どぶろく特区」の方々も、その許可を得ているのですね。

「十二六」は、そんな昔ながらのどぶろくのイメージを守りつつ、現代の味覚にあわせて造られたお酒になります。その甘酸っぱさと炭酸による飲みやすさ美味しさたるや、一度味わうと癖になると言っても過言ではありません。参考までに数値的なデータで言うと、日本酒度-100ぐらい、酸度3〜5、アルコール度数6%です。こんな日本酒は滅多にありません。

美味しいだけでなく、体にとっても良かったりするのも見逃せません。お米の持っている栄養素や、発酵によってでてきたアミノ酸やらが全て詰まっているのですから、体にとてもとてもいいのです。乱暴な言い方をすると、アルコールの無いどぶろくが甘酒であり、甘酒は昔は栄養ドリンクとして、夏バテ防止に飲まれていたぐらいの飲み物なのですね。だから、未だに俳句では「甘酒」は夏の季語だったりします。この甘酒と同じぐらいどぶろくは栄養があるのですから、それはもう健康にも美容にもお肌にもいいのです。

気になるお値段とサイズですが、600mlの瓶が1300円、1440ml入るペットボトルが2200円になります。ペットボトルはミネラルウォーターとかにある2L入るペットボトルに入って売られています。理由を伺ったところ瓶だと輸送費がかかるし、こういう四角いペットボトルだと箱に詰めやすいので、コスト削減のためにペットボトルを採用したとのことです。なので、お買い得なのですね。ちなみにどちらも吹きこぼれないよう、もっと入る容量の瓶やペットボトルにそれぞれ600mlや1440mlを入れています。

吹きこぼれるとはどういうことかと言いますと。この十二六は火入れという作業をしていないため、販売されてからも瓶内で発酵が進んでいます。発酵すると炭酸ガスが発生するため、瓶の蓋には穴が開いています。なので、保管したり持ち運ぶときに横倒ししてはいけません。移動のときも、電車の暖房なんかには注意しましょう。温まると発酵がどんどん進んでいってしまいます。

またここでちょっと豆知識なのですが、お酒の発酵は基本的には糖分を分解して二酸化炭素とアルコールを生成します。なので、瓶内発酵をしているお酒は炭酸ガスを常に生成していることになり、しゅわしゅわとした感触を楽しむことができるのです。でも、発酵が進めば進むほど糖分が分解されて甘みが失われていくというのも覚えておくといいでしょう。

どうやったらこの「十二六」が手に入るのか。このお酒は冒頭でも言った通り、解禁日があるのです。10月26日ぐらいの金曜日から2週間おきに販売されます。その出荷回数は12回。期間限定で、11月から3月までの期間しか味わえないのです。

しかも、基本的には取扱酒販店での予約販売になります。これは瓶内でも発酵が進むため、賞味期限が20日ぐらいしか無いため、無理なく売り切るためにそのようなスケジュールになっているのでしょう。ショップリストで確認をして、予約をして購入しましょう。

ちなみにこの十二六は、実はさまざまな展開を行っていたりします。火入れをして夏にも売られる「1026Lite」や、黒いどぶろく。そして、今年度は何か緑色や紫色のものも登場するという噂もあったりします。一度飲んではまったら、是非ともこれらのバリエーションも楽しんでいきましょう。
(杉村 啓)