英国で昨年、アパートに住む30歳男性の部屋から出火し、建物が燃える火災が起きた。一見よく見られがちな不幸な出来事なのだが、出火原因を調べると、驚きの事実が判明したという。最近、複数の英メディアがこの事故にスポットを当てたことで、いま、再び話題を呼んでいるようだ。

英地方紙ベルファスト・テレグラフや英ニュースサイトのハフィントンポストUKなどによると、この火災が起きたのは2010年7月24日のこと。この日の19時過ぎ、北アイルランド・エニスキリンにあるアパートから出火し、アパート全体で約3,000ポンド(約36万円)相当の被害を出した。火元となったのは、このアパートに住む30歳男性の部屋。そこで警察が捜査を重ねていくと、男性の驚くべき行動が火事に繋がったと分かった。

事故当日、男性は電気ヒーターを使い、部屋の中である実験を行っていた。それは廃棄物や自分の排泄物から金を取り出そうという“奇怪な実験”。電気ヒーターでそれらを加熱していけば“錬金”ができると考えたそうだ。しかし実際に排泄物をヒーターにかけたところ、金が生まれるどころかそこから火が出てしまい、アパートを燃やすに至ったという。

警察の調べに対し男性はこの事実関係を認め、「放火と他人の生命を脅かした」罪で逮捕された。裁判では、弁護士が男性を「相当な知的な能力の持ち主」としながらも「長年、薬物による問題を抱えていた」と訴え、寛大な判決を要求。これに対し裁判官は、「錬金術師の夢を実現させる興味深い実験ではあったが、成功しそうにはなかった」と言及した上で、男性に懲役3か月に加え、12か月の保護観察処分を命じたそうだ。

金を生み出すはずが、逆に自分の財産を失う結果を招いてしまったこの男性。ちなみに、男性がなぜこのような考えに至ったのかは明らかになっていない。