z10000




ビデオサロン10月号では、海外での発表という前提で、本格的な3D/2DカメラHDC-Z10000をご報告していたが、ついに日本でも正式発表された。驚くべきは、HDCという家庭用の型番で登場してきたこと。パナソニックのビデオカメラの歴史を振り返ってみると、DV時代はDJ1というプロシューマークラス向けのカメラがあったが、その後は家庭向きのより幅広いユーザーにシフトラインナップが中心になっていた。
ここ最近の最上位モデルとしては、1080/60p撮影でマニア層をうならせたHDC-TM700,TM750があるが、これほどの本格的なビデオカメラはおそらく初めてではないだろうか。
■プロ機のようなスタイルだが型番は家庭用
 前述したようにこのボディ、このスタイルでありながら家庭用である。販売ルートは「愛情サイズ」と同じ家電ルートになるが、充分プロフェッショナルでも使用できる内容なので、業務機器販売店でも扱われる可能性は高い。もっともこのZ10000の業務版は、本誌が関係者に取材したところでは、今のところ考えられていないようだ。ターゲットはハイアマチュアからブライダルなどの業務用途まで幅広いと思われる。おそらく画質が評価されれば、かなり上のレンジまで使われる可能性は高い。
2つのレンズと2つの新3MOSシステムを搭載し、2Dも3Dも最高の画質を狙う

 イメージャーは1/4.1型の3MOSで2D撮影時には1080/60p(AVCHD2.0準拠)記録が可能。3D撮影時には1080/60iで、MVC方式で左右の映像を統合して1枚のSDカードに記録する(AVCHD2.0準拠)。動画時有効画素は2D時は219万×3、3D時は207万×3でそれぞれ画素ずらしをして4K2K相当のデータを新エンジン・クリスタルエンジンPRO IIで処理し、高精細な映像を作り出す。
 2眼レンズは、レンズ間距離を42ミリに固定。業界最短の撮影距離45cmでの3Dマクロ撮影が可能になる。焦点距離は3D時は32〜320mmの10倍ズーム、2D撮影時は29.8〜368.8mmの12倍ズーム(いずれも35ミリ判換算)。

■業務用さながらの機能と操作性を実現

 写真をみてもわかるとおり、フォーカス、ズーム、アイリスはすべてリングで操作が可能。カラーバー、テストトーン、タイムコード表示などはメニューに入らず、本体のボタンで設定が可能。画質調整機能も、クロマ、ディテール、マトリックス、スキンディテールなど業務用機と同じ機能が入っているだけでなく、ガンマカーブはシネライクガンマを含む7種類のガンマに対応。SDメモリーカードスロットは2基あり、リレー記録、同時記録が可能。マイクは5.1chサラウンドマイクを内蔵するが、XLR入力も2系統装備。
Z10000はその外観から3Dカメラという印象が強いが、実は3D機能もついた2Dカメラと捉えたほうがよい。とするとライバル機はソニーのNX5JやAX2000、パナソニックの業務用機AC160、HMC155などの1/3インチ3CMOS機になってくる。それらよりもかなり小型で価格も安く、ハンドヘルドカメラとして魅力的なものに仕上がっている。それに3D撮影機能がオプションとしてついてくると考えると、実はかなりお買い得なカメラと言えるかもしれない。
 試作機段階で触る機会があったが、パナソニックのハンドヘルド機らしく、グリップの位置が絶妙で手持ち時のボディバランスはひじょうによい。また写真で見るよりもかなり小さい印象だった。TM700、750の1080/60p画質はある意味、50万円クラスの業務用機をしのいでいたものだったので、まずは2Dの60p撮影で評価すべきカメラだと思う。


パナソニック
HDC-Z10000
12月上旬発売予定
オープン価格(推定40万円前後)


パナソニックの製品情報ページ


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