日本経団連は、「大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」を発表した。今回の改定では、広報活動は選考に影響を与えないことに関する明示についての項目が追加された。

 大学側からの採用活動の早期化に対する自粛要請や内定取り消しを行った企業の社名公表など、新卒採用における企業行動を見る目が厳しくなる中、倫理憲章は、企業に対して、採用選考に当たり、学生の学習環境の確保などの点に、十分配慮しつつ自己責任原則に基づいて行動するよう促している。倫理憲章で配慮すべき事項として示されたのは以下の通り。

1.正常な学校教育と学習環境の確保
 在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。

2.選考活動早期開始の自粛
 卒業・修了学年の学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、選考活動の早期開始は自粛する。まして卒業・修了学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む。

3.公平・公正な採用の徹底
 公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法に沿った採用選考活動を行うのはもちろんのこと、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。また大学所在地による不利が生じぬよう留意する。

4.情報の公開
 学生の就職機会の公平・均等を期すとともに、落ち着いて就職準備に臨めるよう、企業情報ならびに採用情報(説明会日程、採用予定数、選考スケジュール等)については、可能な限り速やかに、適切な方法により詳細に公開する。

5.広報活動であることの明示
 企業情報、採用情報等の発信を目的とした広報活動は、その後の選考に影響しないものであることを学生に明示するよう努める。

6.採用内定日の遵守
 正式な内定日は、10月1日以降とする。

7.その他
 高校卒業予定者については教育上の配慮を最優先とし、安定的な採用の確保に努める。

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