銀行で“退職金300万円”に「アライアンス・バーンスタイン」を勧められた!「Dコースなら毎月1万5000円入る」と言われましたが、分配金狙いより“オルカンのほうが安心”ですよね? 10年後の結果とは
銀行窓口の手数料:購入時3.3%+高額な信託報酬
まず知っておきたいのが、ネット証券と銀行窓口で購入する場合の「コスト」の大きな差です。
ネット証券で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)を購入する場合、購入時手数料は0円、信託報酬は年約0.05775%と低い水準です。
これに対し、銀行の窓口でアライアンス・バーンスタインを購入する場合、購入時手数料は約3.3%(税込)、信託報酬は年約1.727%(税込)と高いコストがかかります。
具体的には、アライアンス・バーンスタインは購入時の段階で「300万円×3.3%=9万9000円」の手数料が発生しますが、オルカンの購入時手数料は0円です。さらに10年間の信託報酬を試算すると、以下のようになります。
・アライアンス・バーンスタイン:300万円×1.727%×10年=約51万8100円
・オルカン:300万円×0.05775%×10年=約1万7325円
購入時手数料と信託報酬を合わせた10年間のコスト差は、約59万9775円にものぼります。運用開始時の約10万円の差に始まり、10年間で約60万円ものコストが資産形成の足かせとなってしまうのです。
アライアンス・バーンスタインA~Dコースの違いとDコースの注意点
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信には、以下の4コースがあります。
・Aコース:為替ヘッジあり・資産成長型(年2回決算)
・Bコース:為替ヘッジなし・資産成長型(年2回決算)
・Cコース:為替ヘッジあり・予想分配金提示型(毎月決算)
・Dコース:為替ヘッジなし・予想分配金提示型(毎月決算)
銀行で毎月分配型のDコースがよく提案されるのは、「毎月1万5000円(年間18万円)の分配金が受け取れる」という点が魅力的に映るためです。元本300万円に対し年10%近い分配金が出る計算になりますが、ここには注意が必要です。
運用成績が分配金の水準を下回った場合、資金の一部が「元本払戻金(特別分配金)」として払い戻されることがあります。これは利益ではなく、自分のお金が戻ってきているに過ぎず、元本が減ることでその後の複利効果に悪影響を及ぼします。
10年後の元本推移シミュレーション:オルカン vs Dコース
年間平均リターンを5.0%と仮定し、10年後の資産残高を比較してみましょう。
オルカンの場合(分配金なし・複利運用)
実質年率約4.94%(信託報酬控除後)で運用した場合、10年後の資産残高は「300万円×(1+0.0494)^10=約485万8000円」となり、約185万8000円増加します。
Dコースの場合(毎月1万5000円受取)
実質年率約3.273%で運用しつつ、年間18万円の分配金を10年間受け取り続けた場合、10年後の資産残高は約205万円となります。10年間の分配金合計(180万円)と残高(約205万円)を合わせた総額は約385万円です。
結果として、オルカンは約485万8000円に成長する一方、Dコースは合計でも約385万円にとどまります。このように、目先の分配金の有無だけでなく、長期的なトータルの資産成長を比較すると大きな差が生まれます。
毎月の受取額だけでなく、コストや最終的な資産残高まで比較することが重要です。
「毎月お金が入る」という理由を確認してから選択しよう
退職金という大切なお金を運用する際、「毎月お金が入る」という言葉だけで投資先を決めるのは危険です。金融機関の窓口でお勧めされる商品が、必ずしも最適であるとは限らない点を忘れないようにしましょう。
銀行窓口の高額な手数料や信託報酬、毎月分配型における元本払戻金の仕組みを正しく理解しておくことが必要です。客観的な数字に基づいて判断することが、貴重な退職金を守り抜くカギとなるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

