【闘病】2時間止まらない鼻血と白い塊… 正体はHPVによる『鼻腔がん』だった

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佐藤さんが鼻腔がん(鼻の穴の奥に広がる空間[鼻腔]にできるがん)と診断されたのは、2025年6月のこと。同年2月から鼻血を繰り返していましたが、当初は受診を見送っていたそうです。しかし、3回目の鼻血は2時間止まらず、大きな白い塊も出てきたことから、地元の耳鼻咽喉科を受診。病理検査の結果、HPV(ヒトパピローマウイルス)に関連する乳頭腫(にゅうとうしゅ/粘膜の表面にできるいぼ状の腫瘍)ががん化した鼻腔がんと分かりました。内視鏡手術を受け、現在は3カ月ごとの検査で経過を見守っている佐藤さんに、発覚から診断、治療に至るまでの道のりを聞きました。

※2026年2月取材。

体験者プロフィール:
佐藤 ゆかりさん

1969年生まれ。会社の代表取締役を務めていた2025年6月に鼻腔がんと診断され、同年7月に内視鏡手術を受ける。現在は3カ月ごとに内視鏡検査を受けており、異常は見られていない。睡眠を大切にした生活を心がけている。

鼻血が続き耳鼻咽喉科を受診すると…

編集部

体に異変を感じたのはいつごろでしたか?

佐藤さん

2025年2月です。それまで鼻のトラブルは一度もなく、花粉症でもありません。初めて鼻血が出て、20分で止まりましたが、白いプニュプニュとした物体が一緒に出てきたんです。同年4月に起こった2回目の鼻血も同じく20分ほどで止まったものの、塊は前回より大きくなっていました。そして6月の3回目は鼻血が2時間止まらず、小指の第一関節ほどの塊が出てきました。

編集部

すぐに医療機関を受診したのですか?

佐藤さん

いいえ、すぐには受診しませんでした。鼻血についてインターネットで調べたところ、「20分で止まる鼻血は問題ない」と書いてあったので、病院には行かず普通に過ごしていたんです。ただ、3回目の鼻血と白い塊は普通ではないと思い、すぐに地元の耳鼻咽喉科に行きました。

編集部

診断時、医師からはどのような説明がありましたか?

佐藤さん

医師からは、「最初に鼻血が出たころには、すでに乳頭腫ができていたと考えられる」と説明を受けました。乳頭腫はほとんどが良性とされているそうです。ですが私の場合は、念のため受けた病理検査で「HPVに関連する乳頭腫型の鼻腔がんです」と告げられて……。良性でも手術をする予定ではありましたが、悪性と分かったことで日程を早めることになりました。

編集部

がんと告げられたときの心境を教えてください。

佐藤さん

がんの周囲への広がりや、転移の有無を調べるため、その日のうちにMRIと造影剤を使ったCT、エコー(超音波)検査を受けました。結果が出たのは4時間後ぐらいです。待っている間は「もしかして私はもう無理なのかな」と一瞬不安がよぎりました。多忙な中、医師は私の結果が出るまで待ってくれて、泣きそうになりました。

一時は死を覚悟… やりたいことは全部やる!

編集部

どのような治療を受けましたか?

佐藤さん

診断後間もなく手術日が決まり、内視鏡手術で乳頭腫をすべてきれいに取ってもらいました。カメラに映っていた乳頭腫の向かい側には、内視鏡では見えていなかった別の乳頭腫もできていたそうで、そちらもがん化していました。

編集部

手術後、一番つらかったことは何ですか?

佐藤さん

術後2日間は両鼻が詰まり、鼻血も出て一睡もできなかったことです。あとは、鼻の中に詰めていた脱脂綿を術後5日目にピンセットで引っ張り抜くときが、とても痛かったです。

編集部

闘病中、心の支えになったものは何ですか?

佐藤さん

家族や、私が経営するお店のスタッフから寄せられた励ましの言葉です。家族は毎日見舞いに来てくれましたし、スタッフがくれたがん封じのお守りや大好きな趣味の本も支えになりました。

編集部

発症後、困った出来事や印象に残っていることはありますか?

佐藤さん

少し鼻がムズムズするだけで、「また乳頭腫ができて、手術をしないといけないのだろうか」と思ってしまうことです。わずかな鼻血でも神経質になり、病院に行ってしまいます。

編集部

病気を経験して、人生観や日常の過ごし方に変化はありましたか?

佐藤さん

はい。がんと診断され、MRIやCT、後日受けたPETなどの検査結果がすべて出そろうまでは「転移があるかもしれない」と一時は死を覚悟しました。その後は体調を一番に考えながら、やりたいことを全部やっていこうと今まで以上に思うようになりました。

3回目の鼻血で受診、ステージ0での発見に

編集部

現在の体調はいかがですか?

佐藤さん

手術から7カ月たった今も体調は完全には戻らず、午前中は起きられない日が多いですが、徐々によくなってきています。今は3カ月に1回、内視鏡で経過を診てもらっています。これまで異常は見つかっていません。医師からは再発に注意が必要だと説明されており、定期的に診察を受けています。また、体調を大切にし、生活リズムを整えるようにしています。

編集部

この病気をあまり知らない人に伝えたいことは何ですか?

佐藤さん

HPVは子宮頸がんとの関連がよく知られていますが、まれに鼻腔がんや中咽頭がんに影響することもあるそうです。医師からは「あなたのように、初めはステージ1と診断され、手術後の検査でステージ0だったと分かる人は本当に珍しい」と聞きました。片方の鼻から真っ赤でダラーッとした鼻血が出たら、すぐに病院で内視鏡検査を受けてください。
乳頭腫は、HPVの持続感染などが関与して一部はがん化することが知られており、免疫の低下も一因とされています。私は仕事や遊びよりも睡眠を何より大事にするようになりました。発見が遅れると顔が変形することもある病気なので、その意味でも早く見つけることが大切だと思います。

編集部

医療従事者に期待することはありますか?

佐藤さん

私は運よく、最初に行った耳鼻咽喉科の医師が異変に気付き、大きな病院を紹介してくれたおかげで、病理検査を経てステージ0で手術を終えられました。一方で、検査が遅れた人からは、進行してから見つかったという話をよく聞きます。少しの鼻血でも内視鏡で診てくれる医師が増えれば、ステージが進む前に発見される人も増えるかもしれません。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

佐藤さん

私は風邪もひかない健康体でした。お酒も飲まず、タバコも吸わず、食材にも気を配り、浄水器の水にこだわり、毎日お風呂に20分入り、1日2Lの水を飲むなど、とても健康に気を付けていました。それでも、ある日突然、がんを宣告されることはあります。
また、私の場合はステージ0だったため、がん保険の保険金が出ませんでした。がん保険に入っている人は、自身の保険の内容を見直すことをおすすめします(※)。

※上皮内がんに対する保障の有無や給付額は、保険の契約内容によって異なります。

編集後記

鼻血を繰り返し、3回目の出血をきっかけに耳鼻咽喉科を受診した佐藤さん。診察と病理検査を経て鼻腔がんが見つかり、手術につながりました。「片方の鼻から真っ赤でダラーッとした鼻血が出たら、すぐに病院で内視鏡検査を受けてください」--佐藤さんの言葉どおり、繰り返す鼻血など気になる症状があれば、ためらわずに医療機関で原因を調べてもらってください。

本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

記事監修医師:
小柏 靖直(上福岡総合病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。