アジア大会も後半戦となりましたが、運営をめぐるトラブルが相次いでいて、大会を支えるボランティアからも困惑の声があがっています。最前線で大会を支える現場で、何が起きていたのでしょうか。



■選手団の送迎バスの“配車漏れ”




 練習や試合に向かう選手たちの送迎バスでは遅れや配車漏れが相次ぎ、男子バスケットボールの韓国代表は日本代表との決勝当日、練習ができない事態となりました。




全国からバスを集めたものの、うまく活用できていなかったという指摘もあります。

ボランティア:
「開会式の時に空のバスが何台も出て、行く選手よりもバスの方が多くて、乗った、乗っていないと大騒ぎになり、誰も残ってないのに空のバスが何台も余ってしまったというようなことは聞いています」




その背景にあるのが、大会の経費削減です。選手村の建設を取りやめたため、選手の宿泊先はクルーズ船やコンテナハウス、複数のホテルに分散。そのため、送迎ルートは複雑化し、バスのやりくりが追いつかない状況になりました。




組織委員会の会見:
「(配車漏れは)ゼロにはならない。とにかくチェックするしかない」

状況は改善しつつあるものの、今も遅れや配車ミスがあり、チェックを続けるしかないとしています。



■国歌の取り違え




 9月18日、男子ホッケー・韓国対バングラデシュの試合前に、本来流れるはずだった韓国の国歌ではなく、誤って北朝鮮のものが流れるミスがありました。




組織委員会は全ての出場国の国歌を同じ端末に保存していたため、担当者が取り違えたと説明しました。

組織委員会の会見:
「その日に使わない国歌は(端末に)格納しないようにして、音源データに関しては二重チェックをする」



■宿泊施設“史上最悪”と揶揄も




 韓国メディアに「“史上最悪”ありえない状況」とも評された今回のアジア大会。

海外メディアの批判の的となったコンテナハウス。一部の海外選手から「ベッドが狭くて足を伸ばせない」など不満の声を受け、組織委員会は9月27日、海外メディア向けに内部を公開しました。




ベッドの長さは197cmと、一般の人が使用するには十分なサイズですが、体格の大きい選手だと手狭です。そこで足を伸ばして眠れるようオットマンを用意しましたが…。

組織委員会:
「我々の発信不足もあり、なかなか上手く使っていただけなかった部分はある」




オットマンは、テレビを見るためのベンチなどに使用され、対策が選手に伝わっていなかったのです。



■会場の案内に不満も




 海外メディアからは、会場の案内に対する不満の声も聞かれました。

インドネシアメディア:
「出口はどこかなど、もう少し分かりやすくしてもらえるとありがたいです。会場に着いてからも、あちこち移動しなければなりません」

韓国メディア:
「様々な国際大会を経験してきた立場からすると、ボランティアの方々が自身の担当業務を十分に把握できていないように見受けられ、お互いに不便な思いをすることが少なくなかった点が残念です」

記者たちは会場の動線の複雑さや、ボランティアが業務を把握していないことなどを指摘しました。




一方、ボランティアからは…。

ボランティア:
「自分たちが何をすべきかに対して、指示が的確でないので動きようがない」

現場のボランティアは、分からないことがあればボランティアリーダーを通じて、運営責任者に情報を確認するといいますが…。

ボランティア:
「気が付けばもう30分経っている状況で、本当はその場で対応したいんだけど、対応できないことが多々あります」

ボランティアの管理も行き届いていない実態があるようです。

ボランティア:
「本当に日本に来て下さって皆さんに喜んで帰ってもらいたいと、東京五輪から続いている“おもてなしの心”を大切にしていると思います。頑張っているボランティアの気持ちが報われてほしいなと日々感じています」

トラブルが続く背景について、専門家はこう指摘します。

環太平洋大学の真田久教授:
「東京五輪に関わった人がアジア大会の組織委員会に入っているが、まだ十分ではなかった点はあると思う。今回特に宿泊の体制が複数に分かれていたのは、これまでなかったので、これに対する問題が起こった時の対処法がきちんと緻密に作られていなかったのではないかと思う。この2つが大きい」

その上で大会規模が大きくなっていることも、運営の複雑化につながっていると指摘します。




真田教授:
「オリンピックよりもはるかに大きな規模のアスリートが来ている。40数か国、多くの競技団体もありますので、選手団たちとの密接な連携ですよね。それを図って対応していく。できるだけ要望には応えるようにして、対応することが大事だろうと思います」



■試合開始が遅れるトラブルも…組織委は「単純ミス」




 多くのトラブルを抱えるアジア大会ですが、28日もバスをめぐるトラブルがあり、男子バレーの試合開始が遅れました。

同じホテルにパキスタン代表と韓国代表が泊まっていて、パキスタン代表は試合のために岡崎市へ、韓国代表は練習のため犬山市へ行く予定でしたが、それぞれ逆のバスに乗ってしまいました。




パキスタン代表を乗せたバスは、関係者が途中で行き先が違うことに気づき、岡崎の試合会場に向かいましたが、試合開始は30分遅れました。

海外メディアによると、バスの中でユニフォームに着替える選手もいたということです。

一方の韓国代表も、予定していた練習ができませんでした。

このトラブルの原因について組織委員会は29日の会見で、次のように話しました。

組織委員会:
「確認不足もありましたし、違うバスに乗せてしまった単純なミスで、大変残念に思っています。申し訳ございません。改めて乗車予定チームや、車両・行き先に関して、確認・表示をしっかり行うことで再発防止に努めたい」

29日午前中にはアジア大会組織委員会会長の大村秀章・愛知県知事が定例会見を行う予定でしたが、「公務のため」として、取りやめとなりました。