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知人女性に暴行を加えけがをさせたとして逮捕、勾留されていたアイドルグループ「timelesz」の猪俣周杜さん(25)が9月25日、釈放されたことが報じられました。

報道によると、猪俣さんは9月18日午後10時半ごろ、東京都江東区のコンビニ駐車場の車内で、知人女性(26)の顔を手で複数回殴り、けがをさせた疑いで逮捕、勾留されていました。示談が成立したとも報じられています。

身柄が拘束されていた警視庁東京湾岸署から釈放された猪俣さんは、スーツ姿で報道陣に対して「この度は大変、申し訳ございませんでした」と謝罪する様子が一斉に報じられました。

被害者との間に示談が成立したとの報道もありますが、なぜ釈放されたのか、この先どうなるのかを簡単に解説します。

●なぜ釈放されたのか

報道には、弁護人が勾留の取り消しを請求し、認められたというものと、東京地検が処分保留として釈放したというものがあります。

両者は意味合いが異なりますが、いずれにせよ身体の拘束が解かれ、起訴するかしないかがまだ決まっていない点は共通しています。

実務上、否認したまま勾留期限(9月29日とみられます)の4日前に急に釈放されるのは考えにくいところです。

主な理由として考えられるものは2つです。1つは示談が成立したこと。もう1つは、猪俣さんの主張を裏づける証拠が見つかり、犯行に及んでいないことが動かしがたいほどはっきりしたことです。

どちらなのか、あるいはどちらでもないのかは報道からは分かりません。

なお、今回の釈放は「保釈」ではありません。保釈は起訴後の制度であり、猪俣さんは起訴されていないからです(刑事訴訟法207条1項)。

●捜査は終わっていません

釈放されても、無罪や不起訴が確定したわけではなく、捜査はまだ続きます。

身体を拘束しないまま捜査が続き、猪俣さんが警察や検察に呼ばれて話を聞かれることもあります。

不起訴なのか、起訴(略式起訴を含む)なのか、結論が出るまでの期限もありません。

勾留中であれば、基本的には最長20日で起訴するかどうかを決めなければなりません(同法208条)。釈放された後はその制限がないため、数か月、長ければ1年以上かかることもあります。

ただ、仮に示談が成立しているのであれば、これ以上調べることは多くないため、数週間で不起訴処分などとなることも十分考えられます。

●不起訴でも、事務所の処分はありえます

所属事務所のSTARTO ENTERTAINMENTは9月19日、猪俣さんを謹慎とし活動を休止させると発表しました。「当局の処分が確定し次第、猪俣の処分を正式に決定し公表いたします」としています。

不起訴になったからといって、事務所が何も処分ができないわけではありません。

事務所が契約上どう扱うかは、刑事処分の有無ではなく、その行為によって信頼関係や信用が損なわれたかどうかで判断されます。

今回の件で知人女性とトラブルになったこと自体が事実であれば、timeleszや事務所の信用に関わるので、別途処分の対象になりえます。

もっとも、どこまでの処分ができるかは別の問題です。

会社員であれば、私生活上の行為が懲戒対象となるには、企業の事業活動や社会的評価を害するおそれが必要です。

最高裁昭和45年7月28日判決も、私生活の範囲内の行為で、刑も軽く、職場での地位も指導的でなかったといった事情から、懲戒解雇を認めませんでした。

一方、タレントと事務所の契約は雇用ではなく業務委託とされることが多いとされ、労働法のルールがそのまま働くとは限りません。

最終的な処分についての判断の際には、契約上の信頼関係や信用がどれだけ損なわれたかが問題となります。

グループの知名度や本人の立場を踏まえれば契約解除に踏み込む可能性もありますが、契約は残したまま活動から外すという選択もあり得ます。

なお、事務所が待つとした「当局の処分」は、検察官から自動的に知らされるものではありません。

不起訴になったことは、被疑者(今回は猪俣さん)が請求したときに検察官が告げる仕組みです(同法259条)。猪俣さん側が動かなければ、処分が出ても伝わりません。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)