「金属アレルギー」を発症するとどんな「症状」が現れる?【医師監修】

金属アレルギーは、湿疹や水ぶくれのほか、場合によっては触れた場所以外に症状が現れることもあります。あせもや一般的なかぶれと見分けにくいこともあるため、症状の特徴や疑うべき場面を解説します。

監修廣瀬 正和

京都大学医学部を卒業後、大学病院勤務を経て市中病院で脳神経内科医として5年間従事しました。
専門医取得後、母校大学院で研究を続けています。

【資格、専門医等】
日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、日本脳神経超音波学会超音波検査士

【診療科目】脳神経内科、一般内科※
一般内科には呼吸器、消化器、循環器、膠原病、アレルギー、腎臓、血液、内分泌、神経、救急の領域、また一部の皮膚科や耳鼻科や泌尿器科の疾患などを含みます

金属アレルギーの代表的な症状

金属に触れた部分がかゆくなるのはアレルギーですか?

金属に触れた部位がかゆくなった場合、金属によるアレルギー性接触皮膚炎、いわゆる金属アレルギーが関係していることがあります。金属による接触皮膚炎は、かゆみ、赤み、腫れ、湿疹様の皮膚症状などが現れることがあります。原因となる金属としてニッケルが代表的ですが、コバルト、クロム、パラジウム、金などもアレルゲンとなりえます。
ただし、接触皮膚炎にはアレルギー性のものだけでなく、刺激によって生じるものもあるため、かゆみなどの症状だけで金属アレルギーと断定はできません。診断では、症状が生じた状況や金属への曝露歴などを確認し、必要に応じてアレルゲンを皮膚に貼付して反応をみるパッチテストが行われます。

かゆみや赤みはどれくらいで出ますか?

金属アレルギーによるアレルギー性接触皮膚炎は、金属に触れてすぐではなく、一般に24~48時間後からかゆみや赤みが現れ、48~72時間ほどで症状が強くなることがあります。これは、免疫細胞が関わる遅延型のアレルギー反応だからです。症状は、まず金属が触れた場所に出やすく、かゆみを伴う赤い発疹、腫れ、水ぶくれなどとして現れることがあります。
症状の出方や強さには個人差があります。また、急性期には赤みや腫れに続いて、ぶつぶつや水ぶくれが現れ、皮膚がただれたり、浸出液が出たりする場合もあります。慢性化した場合には、皮膚の乾燥、皮むけ、皮膚が厚く硬くなる変化がみられることもあります。症状が長引く場合には、原因となる金属への接触が続いていないかを確認する必要があります。
参照:
『IRRITANT AND ALLERGIC CONTACT DERMATITIS - SKIN LESION CHARACTERISTICS』(Gaby Novak-Bilić)
『A comprehensive summary of disease variants implicated in metal allergy』(Ka Roach Roberts Jr)

水ぶくれやじゅくじゅくした症状も出ますか?

金属アレルギーによるアレルギー性接触皮膚炎では、水ぶくれや、じゅくじゅくとした症状が出ることがあります。急性期には、金属が触れた部位に赤みや腫れが現れ、細かな水ぶくれが生じることがあります。水ぶくれが破れると、皮膚から液体がにじみ出る浸出液がみられ、じゅくじゅくした状態になることがあります。
症状が続くと、皮膚がかさぶた状になったり、乾燥や皮むけが目立ったりする場合もあります。金属はアレルギー性接触皮膚炎を起こす代表的な原因の一つであり、特にニッケルはパッチテストで陽性となりやすい金属です。ただし、水ぶくれや浸出液は金属アレルギーに限った症状ではなく、ほかの接触皮膚炎でもみられます。

全身に症状が出ることもあるのですか?

金属アレルギーは、金属が触れた部位だけでなく、全身に皮膚症状が出る全身性金属皮膚炎(全身型金属アレルギー)が起こることがあります。特定の金属にアレルギーのある方で、その金属が食品や歯科金属などから体内に吸収されると、離れた部位の皮膚にも症状が現れたり、もともとの皮膚炎が悪化したりする場合があります。
現れ方はさまざまで、手足に水ぶくれができる汗疱状湿疹、丸くじゅくじゅくした湿疹、全身にできるかゆみを伴う発疹、全身の皮膚が赤くなる紅皮症などが挙げられます。ただし、これらの皮膚症状がすべて金属アレルギーによるとは限りません。原因の判断には、症状の経過やパッチテストなどを踏まえた皮膚科での評価が必要です。

部位や場面ごとの症状の特徴

ピアスの穴のトラブルも金属アレルギーですか?

ピアスの穴の赤み、かゆみ、腫れ、湿疹などは、金属アレルギーによる接触皮膚炎の可能性があります。特にニッケルは代表的な原因で、ニッケルを放出するピアスが耳たぶに触れると、繰り返し湿疹が起こることがあります。ピアスの穴を開けること自体も、ニッケルアレルギーを起こすリスク因子です。
ただし、ピアス穴のトラブルがすべて金属アレルギーとは限りません。穴を開けた直後の炎症、細菌感染、物理的な刺激、金属以外の製品成分なども原因になりえます。特定のピアスを着けると症状を繰り返す場合には、使用を中止し、皮膚科でパッチテストを含めた評価を受ける必要があります。

汗をかく夏に悪化しやすいのは本当ですか?

金属アレルギー、特にニッケルによる接触皮膚炎では、汗が症状に関与することがあります。金属製品が皮膚に長時間触れ、汗によって皮膚がふやけると、金属からニッケルが放出され、皮膚に移行しやすくなる可能性があります。人工汗を用いた研究でも、金属からニッケルが溶出することが確認されています。
症状の出方は、金属の種類や製品から放出されるニッケルの量、皮膚との接触時間、皮膚の状態などによって異なります。腕時計、アクセサリー、ベルトの金具などが触れる部位で、汗をかきやすい時期に症状を繰り返す場合は、金属との関連を確認する必要があります。原因が疑われる製品の使用を控え、皮膚科で相談しましょう。
参照:
『Nickel release from metals, and a case of allergic contact dermatitis from stainless steel』(LASSE KANERVA)
『Nickel allergic contact dermatitis』(Mingang Zhu)

ベルトのバックルや時計でもかぶれますか?

ベルトのバックルや腕時計でも、金属アレルギーによる接触皮膚炎が起こることがあります。ニッケルは金属アレルギーの代表的な原因で、ベルトのバックル、時計、衣類の金属製ボタンや留め具など、皮膚に触れる身近な金属製品に含まれることがあります。ニッケルを放出する製品が皮膚に繰り返し、または長時間触れると、赤み、かゆみ、湿疹などの症状が生じる可能性があります。
ベルトでは金具が当たる腹部、腕時計では手首など、製品が接する場所に症状が現れることがあります。特定の製品を使ったときに同じ部位の皮膚症状を繰り返す場合は、金属との関連を考えます。原因が疑われる製品の使用を控え、原因金属の確認を希望する場合は皮膚科でパッチテストが適応になるか相談しましょう。

金属アレルギーの症状に関するよくある質問

原因の金属から離れればすぐに治りますか?

原因となる金属への接触を避けることで、金属アレルギーによる接触皮膚炎は改善が期待できます。ただし、外した直後にすぐ治るとは限りません。すでに起きた炎症が落ち着くまでには時間がかかり、軽い場合でも数週間、症状が強い場合には数ヶ月かかることがあります。
また、一度成立した金属アレルギーそのものがなくなるわけではないため、同じ金属に再び触れれば症状が再発する可能性があります。時計、アクセサリー、衣類の金具など、気付かない製品に原因金属が含まれている場合もあります。症状が続くときは、原因製品を避けるだけでなく、皮膚科で相談しましょう。

あせもやかぶれとの見分け方を教えてください

あせもと金属アレルギーによるかぶれは、症状だけで見分けるのが難しいことがあります。あせもは、汗が出る管が詰まることで起こり、暑い環境、湿度、衣類などによる蒸れや皮膚の密閉がきっかけに発症します。首、脇、肘や膝の内側、体幹など、汗がたまりやすい部位に小さな発疹がまとまって出やすいのが特徴です。
一方、金属アレルギーでは、ピアス、腕時計、ベルトのバックルなど、特定の金属製品が触れる部位に症状が繰り返し現れる場合に疑います。ただし、見た目や部位だけで確定はできません。金属アレルギーを含むアレルギー性接触皮膚炎の原因確認には、皮膚科で行うパッチテストが有用です。

編集部まとめ

金属アレルギーは、接触部のかゆみや赤みだけでなく、水ぶくれや広範囲の湿疹につながることがあります。特定の金属製品で症状を繰り返す場合は使用を控え、皮膚科で相談しましょう。

参考文献

『Contact dermatitis and patch testing for the allergist』(Luz Fonacier)

『Immunological Mechanisms of Metal Allergies and the Nickel-Specific TCR-pMHC Interface』(Franziska Riedel)

『Systemic allergic contact dermatitis to palladium, platinum, and titanium: mechanisms, clinical manifestations, prevalence, and therapeutic approaches』(Ali Sadrolvaezin)

『IRRITANT AND ALLERGIC CONTACT DERMATITIS - SKIN LESION CHARACTERISTICS』(Gaby Novak-Bilić)

『A comprehensive summary of disease variants implicated in metal allergy』(Ka Roach Roberts Jr)

『Nickel allergy and allergic contact dermatitis: A clinical review of immunology, epidemiology, exposure, and treatment』(Malin G. Ahlström)

『Advancing the understanding of allergic contact dermatitis: from pathophysiology to novel therapeutic approaches』(Marta Tramontana)

『多種類の金属アレルギー患者に胸骨正中切開で大動脈弁人工弁置換術を施行した1例』(瀧本真也)

『全身性金属皮膚炎(全身型金属アレルギー)はどのようなものですか?』(日本皮膚科学会)

『Management of contact dermatitis due to nickel allergy: an update』(Fernanda Torres)

『Nickel Allergy and Piercings: A Systematic Review and Meta‐Analysis』(Benedikte von Spreckelsen)

『Nickel release from metals, and a case of allergic contact dermatitis from stainless steel』(LASSE KANERVA)

『Nickel allergic contact dermatitis』(Mingang Zhu)

『金属、歯科材料による接触皮膚炎(かぶれ)はどのようなものですか?』(日本皮膚科学会)

『NICKEL CONTACT DERMATITIS FROM HYPODERMIC NEEDLES』(Vandana Mehta)

『接触皮膚炎の治療と予防法はどのようなものですか?』(日本皮膚科学会)

『Recent advances in understanding and managing contact dermatitis』(Stefan F Martin)

『かぶれ』(日本皮膚科学会)

『An Unusual Presentation of Heat Rash: Bullous Miliaria in a Middle-Aged Woman』(Fatema J Eshaqi)