「インスリン」の”3つの働き”はご存じですか?糖尿病との関係も医師が解説!

糖尿病はインスリンの不足や効きにくさが原因で起こります。インスリンが体内でどのような役割を担っているのかを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「糖尿病でインスリン注射」を打ち忘れるとどうなる?インスリン注射の費用も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

「インスリン」とは?

インスリンとは、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を下げる働きを持つホルモンです。私たちは食事をすると、炭水化物がブドウ糖に分解され、血液中に吸収されます。しかし、血液中に糖が増えるだけではエネルギーとして利用できません。
そこで必要になるのがインスリンです。インスリンは、血液中の糖を筋肉や肝臓、脂肪細胞に取り込ませ、エネルギーとして利用できるようにする役割を持っています。
インスリンが十分に働かないと、血糖値が高い状態が続き、血管や臓器にダメージを与える原因になります。

インスリンはどこから分泌されるの?

インスリンは、膵臓という臓器から分泌されます。膵臓の中にある「ランゲルハンス島」と呼ばれる細胞の集まりの中のβ細胞(ベータ細胞)が、インスリンを作っています。
健康な人では、食事をすると血糖値が上がり、それに反応してインスリンが分泌されます。一方、空腹時には分泌量が少なくなり、血糖値が一定に保たれています。
しかし、糖尿病ではこの仕組みがうまく働かなくなります。

糖尿病とインスリンの関係性とは?

糖尿病は、「インスリンが不足する」「インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)」ことによって起こります。
1型糖尿病では、自己免疫などの影響で膵臓のβ細胞が壊され、インスリンをほとんど作れなくなります。この場合、インスリン注射が生命維持に必須です。
一方、2型糖尿病では、肥満や運動不足、遺伝的要因などによってインスリンが効きにくくなります。初期にはインスリン分泌を増やして対応しますが、長年負担がかかると膵臓が疲弊し、十分なインスリンを出せなくなります。
その結果、血糖値が慢性的に高い状態となり、網膜症、腎症、神経障害、心筋梗塞、脳卒中などの合併症につながることがあります。

インスリンの働き

血糖値を下げる

インスリンの代表的な働きは、「血糖値を下げること」です。
血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませ、エネルギーとして使える状態にします。
食後に血糖値が上がっても、インスリンが正常に働くことで、適正な範囲に調整されています。

肝臓で糖を蓄える

インスリンには、肝臓で糖を蓄える働きもあります。余った糖を「グリコーゲン」という形で肝臓に保存し、必要な時に再利用できるようにしています。
そのため、空腹時でも急激に低血糖にならないよう調整されています。

脂肪や筋肉を作る

インスリンには脂肪や筋肉を作る働きもあります。糖をエネルギーとして利用しやすくすることで、筋肉量の維持や体重管理にも関わっています。
一方で、インスリンが過剰に分泌されている状態では、脂肪をため込みやすくなることもあります。

「糖尿病とインスリン」についてよくある質問

ここまで糖尿病とインスリンについて紹介しました。ここでは「糖尿病とインスリン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

糖尿病でインスリンを打たないとどうなりますか?

久高将太(医師)

インスリンが必要な状態で治療を行わないと、高血糖が続き、血管障害が進行します。特に1型糖尿病では命に関わることもあります。放置すると、失明、透析、神経障害、心筋梗塞、脳卒中などの重大な合併症につながるため、適切な治療継続が大切です。

糖尿病と診断された場合、アイスクリームやあんこのようなスイーツは控えた方がいいのでしょうか?

久高将太(医師)

完全に禁止する必要はありませんが、食べ過ぎには注意が必要です。糖質量が多いスイーツは血糖値を急上昇させやすいため、量や頻度を調整することが重要です。食後に少量楽しむ、低糖質タイプを選ぶなど、工夫しながら付き合うことが大切です。

まとめインスリン治療は合併症を防ぐための大切な治療です。自己判断せず主治医と相談しましょう

インスリンは、血糖値を正常に保つために欠かせない重要なホルモンです。糖尿病では、インスリンの分泌不足や働きの低下によって高血糖が起こります。
インスリン注射というと「重症化した証拠」と不安に感じる方もいますが、実際には血糖値を改善し、将来の合併症を防ぐための大切な治療です。最近では、細い針や使いやすい注射器も増え、以前より負担は軽減されています。
糖尿病治療では、食事・運動・薬物療法を組み合わせながら、無理なく継続することが大切です。自己判断で治療を中断せず、主治医と相談しながら適切に管理していきましょう。

「糖尿病とインスリン」と関連する病気

「糖尿病とインスリン」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内分泌・代謝系疾患

1型糖尿病2型糖尿病

糖尿病ケトアシドーシス

高浸透圧高血糖症候群

インスリン抵抗性症候群

糖尿病は早期発見・早期治療によって合併症予防が期待できます。

「糖尿病とインスリン」と関連する症状

「糖尿病とインスリン」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

のどが渇く

尿が多い

体重減少

強い疲労感

手足のしびれ

これらの症状が続く場合は、早めに医療機関で相談しましょう。

参考文献

糖尿病診療ガイドライン|日本糖尿病学会

糖尿病|厚生労働省 e-ヘルスネット

食事バランスガイド|農林水産省