また残留争い? 630億円投下の大型補強も最下位に沈むトッテナムは、本当に大丈夫なのか【現地発】
トッテナムはプレミアリーグ開幕5試合で2分け3敗の戦績。勝点2の最下位で、3週間の代表活動による中断期間に入った。9月19日のリーグ5節、ホームでアストン・ビラに2-3で敗れた試合では、新しいチームゆえの未完成さだけでは片づけにくい不安が残った。
立ち上がりには期待を持たせた。相手ゴールに迫り、GK鈴木彩艶に好セーブを強いた。しかし、なかなか得点には結びつかない。サビーニョのシュートが鈴木にブロックされると、ロベルト・デ・ゼルビ監督は思わず黒いTシャツを頭までめくり上げて、悔しさをあらわにした。
後半には、一度はスタンドに歓喜が広がった。モハメド・クドゥスがネットを揺らすと、ファンは立ち上がって喜んだ。待ち続けた今季リーグ戦初ゴール--だが、クロスを送ったアンドリュー・ロバートソンのオフサイドがVARで確認され、歓声はため息に変わった。
その約7分後、さらに厳しい現実が待っていた。
鈴木のロングフィードをニコラス・ジャクソンに収められると、そこから守備を崩され、追加点を奪われた。
試合後、デ・ゼルビ監督が繰り返し問題にしたのは、この2失点目だった。ビラがロングボールを多く使ってくることは、何度もミーティングで確認していたという。
「あれは受け入れられない失点だ」
警戒していた攻撃を、そのまま通されてしまった。イタリア人指揮官は、追う展開になった選手たちがプレーを急ぎ、無理にパスを通そうとして、バランスを失ったとも話した。ゴール取り消しに落胆しても、次のプレーに集中しなければならない。そこで気持ちを切り替えられず、チーム全体が前のめりになった。
取材席から見ていて気になったのも、試合が進むにつれて失われていく余裕だった。ブライトン時代のデ・ゼルビ監督のチームには、後方でじっくりボールを持ち、相手の出方をうかがう落ち着きがあった。相手を引きつけてから、空いた場所へ運んでいく。危険を伴う組み立てでも、何を狙っているのかが選手間で共有されているように見えた。
ところが、ビラ戦のトッテナムは、得点を追うほど前への意識が強まり、攻撃を止められた後の守備が不安定になった。序盤のように好機を作りながら、もう少し辛抱できなかったのか。

