青森・黒石名物「つけやきそば」とは!?[Photo:のぐちまさひろ]

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青森・黒石では、やきそばが「おやつ代わり」だった!?

 高度経済成長期のマイカーブームとともに激増したドライブインは、現在ではその役割を「道の駅」やサービスエリアに譲り、全国で200店舗程度にまで減少していると言われています。
 
 その一方、現存するドライブインは、素朴ながらも温かみのある料理や独自のサービスによって、多くのファンから根強く支持されているのです。

 青森県黒石市の東北自動車道「黒石IC」から約8分。八甲田山や十和田湖へとつながる国道102号沿いに位置する「ドライブイン西十和田」は、つゆ&つけの2大やきそばを名物とする“昭和のドライブイン”。

【画像】箸が止まらない! これが「ドライブイン西十和田」名物「つけやきそば」です!(30枚以上)

 やきそばの町としても知られる黒石市では、太くて平たい独特の麺を使った「黒石やきそば」が親しまれてきました。

 昭和30年代には、学校帰りの子どもたちがおやつ代わりに食べるほど身近な存在だったそうで、いわば観光名物になるずっと前から続く“町の味”です。

 さらに昭和30年代後半には、焼きそばに温かい汁をかけた「つゆそば」が登場。

 これが現在の「黒石つゆやきそば」へとつながり、今では全国的にも知られるご当地グルメとなっています。

 焼きそばに汁をかけるだけでも十分発想が自由なのに、今回のお目当てはさらにその先を行きます。

 その名も「つけやきそば」。いや、いったい何に“つけ”るんでしょうか!?

心がぐらぐら揺れたものの、「つけ」に着地

 広々とした駐車スペースの奥に佇むのは、オレンジ色を基調とした平屋の建物。入口脇には「昔の味 ラーメン 営業中」の看板が立ち、建物の横には、もちろん別棟のトイレも。うん、紛うことなき“昭和のドライブイン”です。

 店内は雑多な感じもするけど、実は整理整頓されているおばあちゃんちのような雰囲気。うんうん、入った瞬間から落ち着きます。

 現在、店を切り盛りするのは2代目の女将さん。この日は女将さんを含む3人のご婦人方が、まかないとして「冷やしゴマだれうどん」を召し上がっていました。

 こういうのを見ると、「そっちの方がウマいの?」と心が揺れますが、あくまでも初志貫徹です。そう、狙いは名物の「つけやきそば」(800円)です。

 念のためメニュー表も眺めてみると、つけやきそばの上に「つゆやきそば」(800円)の文字が(!)。

 またもや心が揺れたものの、“そのまま”と“つける”の2通りを楽しめる「つけやきそば」に軍配が上がりました。

2通りどころか七変化!? 気づけば箸のペースが上がっていく

 チェリオの炭酸飲料「ビタミン全開」(200円)で喉を潤しつつ、店内をちょろちょろと散策。こけしや掛け軸など、ほのかに“青森”を感じさせてくれます。

 そうこうしているうちに、「つけやきそば」が到着。

 ほうほう、「黒石やきそば」+「つけスープ」+「天かす」が、美しいトライアングルを描いています。

 まずは“そのまま”。やきそばはソース感が控えめで、思いのほかあっさりとした味わい。豚肉+キャベツという具材もシンプルです。一方、モチモチとした麺は、噛むほどに幸せホルモンが充満していくのが分かります。

 素のやきそばを味わったところで、いよいよ「つけスープ」へとダイブ。

 その味わいは、やきそば+中華スープ……ウマいことはウマいのですが、想像以上でも以下でもなく、驚くようなマリアージュ効果もありません。

 それではと、天かすをドバっと投入。なるほど、天かすが加わることで味にパンチが出て、背脂のようなコクも増していきます。

 さらに繰り返しやきそばを投入していると、やきそばにまとわりついていたソースが溶け出して、つけスープの味わいがじわじわと変わっていくのです。

 テーブルには、一味やこしょうも用意されています。おお、これは2通りどころか七変化。気づけば箸のペースが上がり、つけスープまで飲み干していたのでした。

「つけ」という変化球を狙ったら、思わぬ展開に!?

 つけスープまでしっかり飲み干して、「ごちそうさま!」といきたいところでしたが、正直もうちょい食べられそう……。

「ま、年齢的にも腹8分目ぐらいがいっか」と一息ついていたところ、常連風のお兄さんと女将さんによる、「おにぎり」をめぐるやり取りが耳に入ってきました。

 むむっ、たしかメニュー表には無かったはず。あらためて隅々まで見回してみても、やっぱり無い。これは裏メニューってやつか!

 そうなると話は別です。おにぎりの具は、おかか・こんぶ・うめの3種類があるそうで、数秒悩んだ末に「うめ」をセレクト。

 地元で育てられた「黒石米」で握ったおにぎりは、ふっくらとしたご飯に梅干しの酸味がよく合います。

 つけやきそばでちょっとだけ空いていた隙間も、これでギュウギュウに。

 たとえるなら、「テトリス」のパズルがすっぽりハマったような満足感(!?)や、ある種の達成感を得られました。

 お腹を落ち着けようとゆっくりしていると、女将さんから「黒石よされ、参加していけば?」と思わぬお誘いが。嬉しかったと同時に、手渡されたうちわの「今宵、恋に舞い踊る。」という文字が目に入り、妙な勘違いを起こしそうになりました(笑)。

 “つけやきそば”という変化球を目当てに訪れたドライブイン西十和田でしたが、最後に飛んできたのは、“人情”という名のど真ん中のストレートでした。