日本のホストにハマる中国女子が急増?イケメンキャラとの結婚式イベントも…日本と瓜二つな”推し活”の実態
日本のホストクラブに行く中国の女性
最近の日本では「中国語OK」というホストクラブが増えており、中国のSNSでは、日本のホストクラブが日本独自の「女性向けエンターテインメント」として紹介されることもある。実際、筆者が知る日本へ「潤(=移住)」した中国人のなかにもホスト通いをする人がいる。
実は、この日本のホストクラブ人気は最近の中国で流行している「男色経済」で説明することが可能である。中国の「男色経済」とは、一言でいうと女性が「男性の美」を消費する経済圏のことだ。
なぜ若い女性に「男色経済」が支持されるのか。それには複数の要因がある。
「見ること」による主導権
従来のエンタメ産業では、女性が見られる対象だった。しかし「男色経済」では、女性が見る側になる。女性にとっては長いあいだ抑圧されてきた「見る愉しみ」だ。
「推し活」によるアイデンティティ
中国の若い女性にとって「推し」は単なる娯楽ではなく、SNSのアイデンティティになっている。誰の「推し」かを公言することで、コミュニティへの帰属意識を得る。ライブ配信やSNSで応援することで喜びや、感情の解放が得られる。
労働の代償となる癒し
中国の若い女性は激しい受験競争、若年層の就職難、職場でのジェンダー差別など、多面的なプレッシャーに晒されている。推しに対する投資は、現実の人間関係より簡単で、充足が得やすい側面がある。
経済的自立
中国の都市部では、親世代から子世代への経済的支援が比較的大きく、女性自身も所得を得ることで、若い女性が自分のために消費できる経済的余地が生まれている。
「女性らしさ」の再定義
皮肉なことに、男性の美しさを支持することは、女性自身のジェンダー規範からの解放でもある。美しい男という、男らしさの多様化は女らしさの多様化でもある。
日本のホスト産業はアジアでも独特の発達を遂げており、東京・新宿を中心に半世紀以上をかけて、女性の欲求を満たす接客文化を磨いてきた。そこで彼女たちは恋愛への幻想を満たすだけでなく、「推し活」や「自分へのご褒美」など、上で挙げた多面的な欲求を満たしている。
そして、同じ文脈で中国のBL人気も説明可能である。中国の女性にとってBLとは「美しい男性同士の関係性」を消費するコンテンツだ。
中国のBL市場は小説だけで2400億円規模とも
日本で中国BLは「規制されている」、「作者が逮捕された」という印象が強いかもしれない。実際のところ、そういった一面もあるが、だからこそ熱を持ったファンが多いのも事実だ。公式統計は無いが、一説によると中国BL市場は小説だけでも百億元級(概ね2400億円前後)とされる。
誤解されがちだが、中国で規制されているのは性的な表現だ。中国には日本の「R18」のような成熟度に応じたレーティング制度がない。
そのため、商業流通する作品は成人向け作品として流通させるという方法が取りにくく、性的表現は厳しく制限される。
例えば、中国でも『鬼滅の刃』は街なかでコスプレイヤーを見かけるほど人気だ。しかし、中国国内で放映される際には血しぶきや肉体の欠損が修正された形で放映されている。
このように、中国国内でアニメやBLを含めた様々な作品は、子どもが見ても問題がないとされることが必要となる。過去にBL作家が逮捕された事例では、作品に含まれる露骨な性的表現が問題とされたケースがある。
このため、一般的に中国のBLは性的な表現が「はぁはぁと言いながら一緒に山を登る」など、直接的な表現を避け、読者の想像に任せる表現で代用されることが多い。
街なかにはBLグッズを売る店舗も存在するが、あくまでも見かけは「仲の良い友だち」であることが要求される。
中身はどうであれ、表面的に健全的であれば公然と街なかでグッズを販売することも可能なのだ。
ちなみに、これは男性向け美少女ゲームも同様で、表面的に健全であれば、日本の美少女ゲームのコラボカフェが大規模商業施設で営業しているなど、筆者からすると「もしかすると日本以上に表現が自由なのではないか」と感じてしまうような光景を中国の都市では見かけることができる。
「恋愛関係も対等でありたい」
話が逸れたが、中国人女性がBLに求める要素の一つは「対等で完璧な恋愛」だ。
以前の記事で紹介したが、男尊女卑的な社会風土が色濃く残る中国では、パートナーに結婚・出産を強く求める男性は未だに大多数だ。
こういった社会において、結婚や出産を期待されることは、愛情と引き換えに果たすべき役割だと感じる女性もいる。そのような女性にとって、愛は出産という義務に基づくものであり、純粋な愛という理想とは大きくかけ離れている。つまり、女性たちにとって、結婚で得られる愛とは条件付きの愛なのだ。
そして、彼女たちにとって結婚・出産というゴールのないBLは性別から完全に解放された純粋な恋愛として映る。
また、BL作品は男性同士の恋愛を描くため、関係が対等であることを強調しやすい構造を持っている。女性は、長く続いた男女不平等を敏感に意識しており「男性と同じように尊重されたい」、「自分の価値を認められたい」、「恋愛関係も対等でありたい」という願望を抱いている。
「純粋な恋愛の願望」「対等な関係の願望」
中国女性向けコンテンツを読み解くうえで、「純粋な恋愛」と「対等な関係」という二つの願望は重要な鍵になる。そして、中国の乙女ゲー人気もこの2つの願望が色濃く反映されているのが特徴だ。
・・・・・・
【つづきを読む】半裸マッチョショーが売上20億円、女性との“同伴登山”で月収120万稼ぐ男子学生も…中国「イケメン経済圏」の実態
【つづきを読む】売上20億円の半裸マッチョショー、女性と”同伴登山”で月収120万稼ぐ男子大生も…拡大する中国の「イケメン経済圏」
