【2026年10月】サントリー金麦が“税率一本化”で「第3のビール」から「普通のビール」に!? なぜ税率変更で“中身まで変わる”のか…大手4社「アサヒ・キリン・サッポロ・サントリー」の動きも解説
酒税法ではお酒が4種類に分けられている
まずは、酒税法について押さえておきましょう。酒税法では、製造方法や性状から酒類を次の4種類に分類しています。
・発泡性酒類:ビール、発泡酒、その他の発泡酒類
・醸造酒類:清酒、果実酒、その他の醸造酒
・蒸留酒類:連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
・混成酒類:合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒
4つの分類ごとに基本税率が定められた上で、品目ごとに異なる税率が定められています。
ビールとは
ビールとは、アルコール分が20度未満で、次のいずれかに該当するものを指します。
1. 麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの
2. 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品1および2を原料として発酵させたもの
3. 1または2の酒類にホップ、または政令で定める物品2を加えて発酵させたもの
なお、政令で定める物品1、2は次の通りです。
ただし、その原料中麦芽の重量がホップおよび水以外の原料の総重量の100分の50以上のものであり、かつ、政令で定める物品2の総重量が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限られます。
発泡酒とは
発泡酒とは、発泡性を有するアルコール分20度未満のもので、次に該当するものを指します。
1. 麦芽または麦を原料の一部としたもの
2. 1以外の酒類で、ホップを原料の一部としたもの
3. 1または2以外の酒類で、香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして政令で定める一定のもの
酒税法が改正される理由
これまで、発泡性酒類のなかでも品目によって異なる税率が定められていました。そのため、税負担を軽くするために各社が商品開発を行ってきました。
例えば、当時麦芽比率が67%を下回ると雑酒と扱われたことから、1994年にサントリーが発泡酒「ホップス<生>」の販売を開始しました。2003年に発泡酒が増税され、2004年にはサッポロビールが麦芽や麦を一切使わない「ドラフトワン」の販売を開始し、「第3のビール」が市場に広まりました。
今回の改正によってビール系飲料の税率が統一される
今回の改正により、ビール系飲料の税率は350ミリリットル缶あたり54.25円に統一されます。それぞれこれまでの税率の変化は図表1の通りです。
図表1
財務省 酒税に関する資料より
ビールは9.1円減税され、発泡酒・新ジャンルは7.26円の増税となります。
酒税法改正を受けた大手ビールメーカーの動き
今回の酒税法改正を受け、大手ビールメーカーから商品のリニューアルなどが発表されました。
ビール系飲料の税率が一本化されることになり、生産者価格を改定するだけでなく、より本格的なビールのおいしさを感じられるよう、ビールの中身の刷新や第3のビールをビールに格上げする動きが目立っています。各社の動きを詳しく見ていきましょう。
アサヒビールの動き
アサヒビールでは、ビールである「アサヒスーパードライ」「アサヒ生ビール」などが減税されます。一方、発泡酒である「アサヒスタイルフリー<生>」や新ジャンルである「クリアアサヒ」などが増税となります。
また、「スーパードライ」の中身・パッケージの刷新が発表され、8月上旬以降の製造分から順次切り替えられています。具体的には、麦芽比率が高められ、ホップ品種の配合の見直しが行われました。
キリンビールの動き
キリンビールでは、「キリン一番搾り生ビール」などのビールが減税となります。一方、「淡麗グリーンラベル」などの発泡酒、「本麒麟」「キリン のどごし<生>」などの新ジャンルのビールが増税となります。
キリンビールでは、8月製造品から「キリン一番搾り生ビール」の中身・パッケージのリニューアルが行われました。
ほかにも、新ジャンルの「本麒麟」の中身・パッケージを刷新し、ビール化することが発表されました。製法を変更し、麦100%生ビールとなり、アルコール度数も6%から5%へと適正化するとのことです。11月4日(水)から発売されます。
サッポロビールの動き
サッポロビールでは、「サッポロ生ビール黒ラベル」などのビールが減税されます。一方、「サッポロ極ZERO」などの発泡酒、「サッポロ麦とホップ」などの新ジャンルのビールが増税となります。
さらに、「サッポロ GOLD STAR」「サッポロ 麦とホップ」を新ジャンルからビールへと変更し、10月20日(火)から販売することも発表されました。ビールの品目の中でも複数の価格帯をそろえ、消費者のニーズに応えるとしています。
サントリーの動き
サントリーでは、「ザ・プレミアム・モルツ」「サントリー生ビール」などのビールが減税となります。一方、「金麦」や「ジョッキ生」などの新ジャンルのビールが増税となります。
さらに、「金麦」「金麦<糖質75%オフ>」を従来よりも麦芽比率を高めてビール製法へと変更し、ビール化することが発表されました。10月6日(火)から発売され、新たに「金麦<豊潤>」が10月13日(火)から発売されます。
税率は統一されても価格差は残ると見られている
これまで、ビールの品目ごとの税率が異なっていたことから、税負担を軽くするために、製法を変えたり、麦芽比率を抑えたりと、発泡酒や第3のビールといった新商品の開発が行われてきました。
10月1日からビール系飲料の税率が統一されることを受け、大手ビールメーカーは主要商品の中身・パッケージのリニューアルなどを発表しています。
税率は統一されるものの、ビール系飲料内で複数の価格帯が生まれ、価格差は残ると見られています。これまで発泡酒や第3のビールを買っていた人も、気軽にさらにおいしくなったビールを楽しめる日が近づいていると言えそうです。
出典
財務省 酒税に関する資料
国税庁 東京国税局 ビール・発泡酒に関するもの
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

