「高田ふーみんと高田先生の間には大きなギャップがある」武田塾の元塾長・中森泰樹さんがwakatte.TVの炎上を振り返り「一番傷ついているのは福島の校舎の生徒たちだと思う」
「放射能とか原子力って本当にエネルギーで超重要な問題なわけです、福島大には触らせたくない」
【写真を見る】中森さんと高田氏が共演していた「武田塾チャンネル」、いつものパーカー姿での謝罪動画
学歴調査系Youtubeチャンネル「wakatte.TV」が8月28日に投稿した動画で、出演者の高田ふーみん氏が発した言葉だ。福島大学の学生の前でした、積み上げてきた復興や研究の努力を踏み躙るような発言に、SNSを中心に激しい批判が巻き起こった。芸能記者が解説する。
「2017年設立の同チャンネルは、現在でこそ『教育痛快バラエティ番組』を謳っていますが、当初は武田塾の若手講師が出演するチャンネルでした。1本目の動画では、『高田ふーみん』や『びーやま』ではなく、『武田塾京都校/京都駅前校教務 高田史拓』と『武田塾教務 山火武』として出演しています」
「日本初、授業をしない塾」というキャッチコピーで知られる武田塾。今回の問題発言をした高田ふーみん=高田史拓氏は、武田塾を運営する株式会社A.verの取締役にも名を連ねる。
「受験産業で儲かる立場にある塾講師が学歴・偏差値至上主義を煽る、という構造自体を批判する声も数多くありました。動画中には『武田塾および株式会社A.verとは一切関係ございません』というテロップも表示されていますが、文字通りに受け止めている視聴者は多くないでしょう」
今回の炎上の本質はなんだったのか。武田塾とwakatte.TVは実際のところどのような関係なのか。
話を聞いたのは、2006年に武田塾へ入社して以来、教務主任や教務部長を経て、2022年には塾長に就任した中森泰樹氏。「武田塾チャンネル」の動画にも多数出演し、受験生向けの情報発信に力を注いできた人物だ。武田塾の内実をよく知り、高田氏や山火氏とも深い関わりがあった。
塾長就任の同年に独立し、現在は自ら立ち上げた「すごい塾」の運営に携わる中森さんに、当時の武田塾内部の目線から見たwakatte.TVや、高田氏の人柄、現在の受験産業それ自体の問題にいたるまで、幅広く話をうかがった。【前後編の前編】
学歴ネタだとは思ってもらえない
騒動の発端となった発言を知ったとき、中森さんはどのような印象を抱いたのか。
「私も元々武田塾にいたので、どういう番組かは知っています。だから、批判をする意図ではなかったんだろうなとは思いました。ただ、インパクトのある面白いことを言おう、というくらいのつもりだったんじゃないかな。
出演者の2人とは古いところから関わっているので、今の彼らは大きくなったな、という思いもありつつ、今回大ごとになってしまって、感情の置き場に困っていますね」
同チャンネルはこれまでにもさまざまな批判を浴びてきた。だが今回は、従来の"大学いじり"から一線を超えてしまったと中森さんは指摘する。
「本当に何も知らない人が見た時、あるいは福島の方が見た時に、学歴のネタだとみんなが思ってくれるかと言ったら、そうではない人もいるだろうなと思いました」
まるで別人
今回の発言は「高田ふーみん」というキャラクターとして行ったものかもしれないが、彼が教育者の高田史拓氏であることは明白だ。そこに責任はないのか。
「私自身は辞めている人間なので、責任について何かを言うべき立場ではないと思います。ただ、私は『ふーみん』とは直接関わったことがほぼなくて、『高田先生』としての関わりがとても大きかったんです」
「『高田ふーみん』と『高田先生』の間には大きなギャップがある」と語る。
「本当に教育に情熱を持っている真摯な若者で、生徒の指導にもすごくやる気があって、自分自身も勉強をしていて。私としては、本当に別人のような発言だなと思って見てはいますね」
なぜ高田氏は、今回のような発言に至ってしまったのか。長く「武田塾チャンネル」の顔を務めてきた中森さんには、カメラの前に立つ人間の心理が実感としてわかるという。
「動画に出ている時の人間って、素の100%を出しているわけではなくて、多少なりとも自分を作る側面があると思うんです。あの番組の特性上、面白いことを言わなきゃいけないプレッシャーはあったかなと。
自分自身もアクセルを踏んでしまうことはあるかもしれないと思うので。人を傷つける発言を言うぐらいなら動画にしない、というぐらいの姿勢で自分はやっています」
一番傷ついているのは、福島の校舎の人たち
文科相がコメントするにまで拡大してしまった今回の炎上。そんな中で、中森さんが真っ先に案じたのは、武田塾が福島に展開する校舎にいる人たちだったという。
「通っている生徒さんも、アルバイトの講師さんも、指導している先生も、一生懸命やっているわけじゃないですか。福島大学を志望校に掲げている方は多いと思うので。その人たちが今回、武田塾の関係者の中では一番傷ついている人たちだと思うんですよね」
そして、いま受験勉強の只中にいる高校生たちへ、こう言葉を向けた。
「炎上なんて気にしないで受験に全力で頑張ってほしいなと思っています」
後編では、武田塾内部から見たwakatte.TVとの距離や中森さんの受験観について聞いた。
(後編につづく)
