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「同じ女性として、奥さんへの仕打ちが許せません」

こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられている。

相談者の女性は、交際していた男性に独身だと偽られていたという。さらに、その既婚男性が交際期間中からマッチングアプリや飲みの場で別の女性との関係を繰り返していたこともわかったそうだ。

正義感にかられた女性は、自分を裏切った男性の妻に伝えたいと考えている。

しかし、妻に知らせることに法的な問題はないのか。離婚・男女問題にくわしい寺林智栄弁護士の監修で解説する。

●妻ひとりに伝えるだけなら、名誉毀損にはあたりにくい

──騙されていたとはいえ、女性が「不貞」の事実を相手の妻に伝えることにリスクはありますか。

まず検討されるのが名誉毀損の問題です。夫が不貞をしていた事実を伝える場合、その伝え方には注意が必要となってきます。

妻が夫の不貞を自ら言いふらすことは通常考えにくく、妻ひとりに伝えるかぎり、法的な名誉毀損の成立は考えにくいといえます。

SNSの公開投稿や勤務先への連絡は避けるべきです。

●最大のリスクは、自分が請求される側になること

──伝えたあと、妻から慰謝料を請求されることはありますか。

これが最も大きなリスクです。

妻から不貞慰謝料を請求されても、男性が積極的に独身だと偽り、それを信じたことに落ち度がなければ、請求は認められません。

既婚であることを容易に知りうる事情がなかったとして請求を棄却した裁判例があります(東京地裁2019年6月28日判決)。

ただし、この「落ち度がない」という判断は厳しくされます。

自宅に行けない、休日や夜間に連絡が取れないなど、既婚を疑うべき事情があったのに確認しなかった場合には過失が認められ、110万円の支払いが命じられた例もあります(東京地裁2023年3月3日判決)。

伝える順序も重要になってきます。妻に先に伝えると、男性が離婚問題への対応に追われて支払い能力を失い、相談者自身の慰謝料が回収できなくなることも考えられるでしょう。

まず独身と偽られていた証拠を保全し、貞操権の侵害として男性に慰謝料を請求する。そのうえで、妻に伝えるかどうかは、その見通しを立ててから判断してください。複雑な問題ですので、弁護士に相談することをおすすめします。

【取材協力弁護士
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。札幌弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)、NTS総合弁護士法人札幌事務所を経て、2025年12月からてらばやし法律事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。
事務所名:てらばやし法律事務所
事務所URL:https://www.attorneyterabayashi.com/