苦境の藤川監督

写真拡大

 2位巨人が負けたことで優勝マジックは減っているものの、ここにきて首位・阪神が今季ワーストの7連敗。3試合連続完封負けと深刻なタイムリー欠乏症に陥っている。チーム打率もチーム本塁打数も3位のDeNAに抜かれてしまった。阿部慎之助監督の電撃辞任後、橋上秀樹監督代行が率いる巨人を突き放すどころか肉薄される展開だが、そうした状況に球界の御意見番が喝を入れる。

【写真を見る】チャリに乗って移動する身体の大きな現在の阿部氏。買い物袋を持って直撃に応じた

 阪神は2位の巨人より残り試合数が4試合多く、優勝ラインとされる80勝までは11勝5敗と、2勝1敗のペースで到達するが、地に足がついていない印象だ。阪神OBのひとりが言う。

「リーグで投打が頭一つ出ていても、長いシーズンだから勝てない時期もある。そういう時こそ慌てず普段通りの力を出させるベンチワークが求められる」

 そう期待を寄せるのだが、ヤクルト、西武の監督としてチームを日本一に導いた広岡達朗氏は「(連敗は)監督やコーチの勉強が足りないからです」と一刀両断した。

 西武の監督時代、広岡氏は4年間で3回のリーグ優勝、2回の日本一を達成している。唯一、リーグ優勝できなかった1984年は田淵幸一や太田卓司など主力の故障で優勝争いから脱落すると、若手に切り替えて終盤に猛追して3位で終えている。翌年は独走でリーグ優勝を果たした。

「3位まで日本シリーズに出られるチャンスがあるという(CSの)ルールが間違っていると思うが、2位になれば終わりという緊張感がなくて気が緩んでいるのかわからないが、エラーはするし進塁打もできない。私が監督なら"プロのプライドはないのか。最後まで気を抜くな"と怒鳴っているだろうな。

 これは普段からやるべきことをやっていない証拠。つまり監督やコーチが教えるべきことを教えていない。ということは教えるべきことを知らないんだよ。勉強が足りないから教えられないんです」(広岡氏)

2~3年先にはダメになる

 広岡西武時代のコーチのひとりは「優勝を目前にして今の阪神のような状態に陥ったら、広岡監督なら"普段通りの野球をやればいい"と声を掛けたと思う」と言うが、広岡氏は「勉強していない監督やコーチが教えていないから"普段通りにやれ"と言えない。選手も教えられていないからどこに戻っていいのかがわからない」と指摘する。

「阪神に限ったことではないが、今は監督やコーチという肩書きを嬉しがる者ばかり。現役を引退後、単身でアメリカに渡って勉強をしようといった気概のある者はいない。努力をはき違えている。努力とはできないことをやることで、できることをやるのは努力じゃない。監督やコーチが努力しないから、選手も誰でもできることをやっているだけ。少しできる選手がレギュラーになっているだけで、努力すればすごいレギュラーが生まれるかもしれないのにやろうとしない。もちろんそれを見抜く目も持っていない」

 さらに、広岡氏は「このままでは阪神は2~3年先にはダメになる」と見通す。

「連覇をするようになると、選手は怠けてくる。かつての巨人でそれをさせなかったのはカワさん(川上哲治氏)だったが、今の戦力が働かなくなった時が見どころ。1番から6番までの"次のライバル"を作っているかどうか。今の藤川監督が"今があるのは前の監督が選手を育ててくれたから…"と思っていればいいが、"今の地位は自分の采配によるもの"と勘違いしていたらおしまい。間違いなく2~3年先にはダメになります」

 藤川監督の正念場が続く。関連記事では広岡氏が橋上監督代行の率いる巨人に喝を入れ、「私がジャイアンツの監督なら」と戦術論の見解を語っている。