タクシー配車アプリ「GO」とアメリカで無人タクシーサービスを展開する「Waymo」、タクシー大手「日本交通」の3社が、国内初となる「完全無人タクシー」の運行を目指すと発表した。ドライバー不足の解消などに向け、2027年中にも東京での運行開始を目指すという。

【映像】ハンドルが勝手に動く“完全無人タクシー”(動画あり)

 ニュース番組『わたしとニュース』では、完全無人タクシーの運行や日本の自動運転の未来について、EVeM Chief Impact Officerの滝川麻衣子氏とともに考えた。

■国内初・3社共同で「完全無人タクシー」“地方の足”問題の解消にも期待

 今回発表された計画によると、GO、Waymo、日本交通の3社がタッグを組み、東京で段階的に100台規模の自動運転タクシーの運行を目指す。GOがタクシー事業者との連携の要となり、すでにアメリカの15都市で無人タクシーを運行しているWaymoが自動運転技術を提供。配車は両社のアプリから可能で、日本交通は運行管理などを担う。正式な開始時期は、必要な許認可を取得した上で決定するという。

 全国ハイヤー・タクシー連合会・川鍋一朗会長は「無人の自動運転タクシーが普通のタクシーとして誰でも乗れるという世界が日本にもやってきます」と語り、期待を寄せた。

 3社は完全な無人運行を実現し、深刻なドライバー不足の改善につなげたい考えだ。

 番組では先月、アメリカカリフォルニア州でスタッフが撮影さいた完全無人タクシーの映像を放送。運転席には誰も座っておらず、ハンドルが勝手に回りスイスイと自動で走行。足元も何も踏んでいない状態だが、車線変更もスムーズに行う。乗車したスタッフは「不安感はなかった」という。

 この無人タクシーについて滝川氏は、「私も乗ったことがないので乗ってみたい。このニュースを見て本当に希望があるなと思った」と率直な感想を述べた。

 さらに、自動運転のメリットとして安全性と移動手段の確保を挙げる。「ほとんどの事故がヒューマンエラーから起きているので、それが大幅に削減できるのも一つ。また、特に日本の場合は地方でタクシーが捕まらないことや、高齢者が増えている地域で免許も返納し始めると、その後の足をどうするかという問題がものすごく大きくなっている。そこに対して大きく希望をもたらし、可能性を見出せる話だと受け止めている」と語った。

■米中との大きな格差、自動運転「データ学習」の遅れに懸念

 ワーキンググループなどの目標では、2030年度までに自動運転サービスの車両を国内に1万台導入することを目指し、2030年代には自動運転車両の世界販売台数シェアを約25%確保することを掲げている。しかし、アメリカ中国ではすでに事業化が進んでいる一方で、日本はまだ実証実験の段階にとどまっているのが現状だ。

 これについて滝川氏は、「この実証実験が進んでいくこと自体は前進に見えつつも、アメリカ中国との差が大きく開いているジャンルということは明確に指摘されている。日本は自動車で世界を牽引してきたが、この自動運転に関してとなると、アメリカ中国に先手を取られていて大きく遅れを取っているのが実態」と分析する。

 その格差の要因として、走行データの不足を挙げる。「例えば、Waymoがこれまでに走行している累積距離は3.5億kmと言われているが、日本だとまだ40数万kmだ。自動運転の中核技術であるAIはデータ学習によって進化する。日本のいろいろな都市交通や生活スタイルにあった自動運転データがまだ全然ない。もちろん安全性は確実に担保していくべき要素だが、『あと3年で』と言っているとその3年間の間にどれだけ差が開くのかが気になる」と懸念を口にする。

 自家用車の自動運転普及にはまだ長い道のりがあるが、自動運転技術が進めば人間による運転よりも事故が減るという見方もある。滝川氏は「本当にドライバーの担い手が高齢化している。高齢化の先には完全に不足するということがデータで明らか。特に地方、過疎地域においてこの自動運転が担える可能性はものすごく大きいと思う」と改めてその重要性を強調。

 一方で、今後の課題について「これがいろいろな規制官庁の調整の中でスピードが鈍化してしまうと大きく遅れを取る。目標に掲げている『世界販売台数25%シェア』もどのくらいの実効性があるのかはちょっと心配」と語り、今後の動向を注視する姿勢を示した。

(『わたしとニュース』より)