引き合う大小ふたつの銀河 ハッブル宇宙望遠鏡などが観測した「NGC 169」と「IC 1559」
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡と地上の望遠鏡で観測した銀河「NGC 169」(下)と「IC 1559」(上)。アンドロメダ座の方向、地球から約3億1800万光年先にあります。

NGC 169の中心部を取り巻く渦巻腕(渦状腕)、その途中からIC 1559に向かって、まるで橋を架けたように塵(ダスト)の豊富なダストレーンが伸びている様子がわかります。遠方の銀河を捉えた画像は平面的に見えることもありますが、この画像のNGC 169とIC 1559は奥行きが感じられるほどに立体的に見えます。
活動銀河核を秘めた相互作用銀河
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、NGC 169とIC 1559は重力を介して影響し合う相互作用銀河です。天文学者のHalton Arpが1966年にまとめた特異銀河(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「Atlas of Peculiar Galaxies」には、2つ合わせて「Arp 282」として収録されています。
この宇宙では銀河どうしの重力相互作用はめずらしいことではありません。相互作用銀河は時に激しく歪みながら接近・衝突を繰り返していき、やがて合体してひとつの銀河が誕生すると考えられています。
また、NGC 169とIC 1559はどちらも狭い領域から強い電磁波が放射される活動銀河核(AGN)を持つことが知られています。ESAによると、光学観測データをもとに作成されたこの画像では活動銀河核を判別するのは難しいものの、仮に完全な放射が捉えられていた場合、両銀河が相互作用する様子をこのように詳細に観測することはできなかったかもしれません。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」、セロ・トロロ汎米天文台のビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に設置されている「DECam(ダークエネルギーカメラ)」、そして地上の望遠鏡による掃天観測プロジェクト「SDSS(スローンデジタルスカイサーベイ)」のデータを使って作成されたもので、ESA/Hubbleから2022年2月7日付で公開されました。
本記事は2022年2月10日公開の記事を再構成したものです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
関連記事引かれ合い星々を生み出す2つの銀河 ジェミニ北望遠鏡が観測した相互作用銀河「NGC 7253」まるでダンスを踊るふたつの銀河 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した相互作用銀河「Arp 240」混沌と渦巻き合体していく3つの銀河 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した相互作用銀河「IC 2431」参考文献・出典ESA/Hubble - A Cosmic Draw
