せっかく有名大学に入ったのに… 受験勉強を頑張った地方出身者がコンプレックスを抱く「名門校あるある」【著者対談】

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「小受」。就学前の子どもたちが、名門小学校への入学を目指す小学校受験のことだ。未就学児たちの進学塾とも言える幼児教室の送迎や、親子揃っての面接など、保護者がかかわるタスクの多い小受は、家族全員にとっての戦いでもある。しかし、中学受験や高校受験に比べると受験者は少ないため、小受とはどんなものなのか詳しく知る人は多くないだろう。
『君の背中に見た夢は』(外山薫:原作、たちばな豊可:漫画/KADOKAWA)は、そんな小学校受験に挑む家族の物語である。「子どもの将来の選択肢を増やせるのは自分だけ」という責任を感じながら、仕事との両立や夫との関係で葛藤する母親・茜の姿は共感必至だ。
※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。ご了承の上お読みください。
--茜たち家族は、「子どもへ冬の体験をさせる」という幼児教室の宿題をこなす目的もあって、友人である寛子の別荘へ行きましたね。結衣がお受験の1年くらい前から幼児教室に入る設定は、このような季節にあわせた経験を積ませるためでしょうか。
外山薫さん(以下、外山):そうですね。実際は1年前から準備をし始めるのは遅いほうで、本来であれば記念受験の範疇だと思うんです。早い子だと年少から幼児教室に通い始めるので。
ただ、センスがいい子は遅くから始めてもポンポン追い抜いていくことがあるらしく、茜の娘の結衣はそのタイプですね。ちなみに、茜が幼児教室を紹介してもらった大学時代の友人・京子もこのタイプ。これはもう“名門校あるある”です。
--名門校あるある、というと?
外山:「大学で知り合った友だちがやんごとない」という。動きが洗練されているとか、音楽の素養があるとか、帰国子女でもないのに英語がペラペラだとか。私立小学校から来た人たちはいわゆる文化資本が頭抜けていて、地方出身者や受験勉強を頑張って大学に入った人は、そういう知人たちに対してコンプレックスを抱いてしまうこともあるそうです。
--茜は中学校の頃から必死に勉強してきたのに、頑張って入った大学で、バックグラウンドから違う人たちに圧倒的な違いを見せつけられてしまった…ということなんですね。だからこそ彼女は娘のお受験に夢を見るのですが、作中にもあった「子どもにどんなタイミングで勉強をさせるべきか」というのは悩ましい問題ですよね。
外山:私は教育分野で情報発信をしているため、我が子へどういう教育をしているのかよく聞かれるんですが、私自身はあまり興味がないんです。みんなが必死に頑張っている教育分野について知るのは好きですが、自分事となると優先順位は高くないですね。
ひとつだけ気合いを入れているのは、英語。仕事で結構使うんですけど、私はいわゆる純ジャパで、コツコツ頑張ってもカタコトが限界。仕事の場ではなんとかなっても、その後のパーティーで会話がうまくいきません。
本人がやる気になったときに役に立つような土台を作ってあげるのが、親の務めとして重要なんじゃないかと思っています。
たちばな豊可さん:うちの上の子はガチの鉄ちゃん(鉄道好き)で、私立中学受験する時に鉄道研究部がある学校を選んだんです。今は本人が行きたい大学・学部に向けて、素直に勉強を頑張っています。
真ん中の子は逆に勉強よりも体を動かすほうが得意なので、スポーツの習い事をさせたりとか。ただ、学歴は就職面でも有利だろうし、本人がやる気になった時に選択肢を狭めないためにも勉強はしてほしいです。
外山:子どものやりたいことがあったら後押しする、というのはまさに理想の親像ですよね。
取材・文=吉田あき
