「フルーツは体にいい」の罠… 膵臓がん発症率が欧米の“1.5倍” 内科医が警告する果物と内臓脂肪の危険な関係
「フルーツは体にいい」そう信じて、毎朝せっせと果物を食べている人は少なくないだろう。ビタミンが豊富で、食物繊維も摂れる。健康に気を使う人ほど積極的に取り入れる食品の筆頭格だ。
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しかし、内科医で『最新 欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学が示す、人種と病気の新常識』(講談社ブルーバックス)の著者である奥田昌子氏はこの「常識」に、医学的な根拠をもって異議を唱える。なぜ日本人にとって、フルーツの摂りすぎが「膵臓がんへの近道」になり得るのか。(全2回の1回目/続きを読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2026年7月6日配信)
膵臓がんの発症率が欧米の1.5倍
文藝春秋PLUSの動画番組「HEALTH CARE PLUS」に出演した奥田氏は、日本の膵臓がんをめぐる現状を淡々と、しかし力強く語った。
「1970年頃から急激に増え、今では日本の発症率は欧米より大体1.5倍ほど高くなってしまっています」
年齢を揃えて比較しても、日本は世界有数の膵臓がん大国になってしまった--そう語る奥田氏の表情には、危機感がにじんでいた。
主要な原因の一つとして挙げられるのが、内臓脂肪の蓄積だ。食の欧米化による脂質摂取量の増加、食物繊維の減少、有酸素運動不足。この三点セットが内臓脂肪を増やし、膵臓がんのリスクを押し上げるというのが奥田氏の説明だ。ここまでは、健康意識の高い人なら耳にしたことがある話かもしれない。
フルーツが内臓脂肪を増やす
問題は、欧米化とは一見無関係に見える「フルーツ」だ。奥田氏は続ける。
「果物には果糖という成分が多く含まれています。特に日本の果物は品種改良が進んでいるため、糖度が高く、果糖がたっぷり入っているのです」

奥田昌子氏
果糖は、摂取しても満腹中枢を刺激しない。ご飯やおにぎりに含まれるぶどう糖は食べると満腹感をもたらすが、果糖は肝臓に直行して脂肪に変わるだけだという。「冷やした果物は、いくらでも食べられてしまいます」と奥田氏が語るとおりで、知らず知らずのうちに過剰摂取につながりやすい。
日本人1人あたりのフルーツ摂取量が増え始めたのは1980年代、高度経済成長を経てバブル期に向かう時代だという。「食の欧米化とは少し異なりますが、生活に余裕ができたことによる近代化、現代化と言えるでしょう」と奥田氏は振り返る。この果物摂取量の増加が、欧米化による内臓脂肪増加と「組み合わさって」膵臓がんを増やした可能性があるというのが、奥田氏の見立てだ。同じ東アジアの体質を持つ韓国でも、食の欧米化や果物摂取量の増加とともに膵臓がんが増加しており、「日本より少し時代は遅れるものの」同じ曲線を描いていると語った。
では、何を食べるのが正解か
では、フルーツを一切食べてはいけないのか。奥田氏の答えは「節度を持って」という現実的なものだ。
「1日の摂取量は、お膳の最後に少し添えられている程度で十分です。今日はこれだけ、と決めて、節度を持って楽しんでいただきたいものです」
一方で、積極的に摂ってほしいと奥田氏が勧めるのが「海藻」だ。食物繊維が豊富なうえ、果糖を含まない。欧米人が海藻をほとんど食べないため研究対象になりにくく、メディアで取り上げられる機会が少ないだけで、日本人が伝統的に食べてきた優れた食材だという。
「乾燥わかめや塩蔵わかめは保存がきくので、何にでも加えていただければ、手軽に食物繊維を摂取できます」
さらに奥田氏は、海藻に含まれるカリウムが味噌汁の塩分の影響を打ち消す効果も紹介し、「むしろ海藻やキノコをたっぷり入れることで、味噌汁が血圧を下げる食品に変わるのです」と続けた。
「体にいい」と思い込んでいた習慣が、実は日本人の体質に合っていない場合がある。奥田氏がこの番組で繰り返し強調するのは、欧米発の健康情報をそのまま受け入れるのではなく、「日本人の体質を知る」ことが予防の第一歩だという点だ。アルコール分解能力の低い日本人が喫煙も加わった場合、膵臓がんの発症率が「8倍近く高くなる」という衝撃的なデータも含め、番組ではさらに深い議論が展開されている。
〈「毎日ヨーグルト」でも腸内環境は変わらない…内科医が明かす、25兆個の善玉菌を救う“最強の食材”とは〉へ続く
(「文春オンライン」編集部)
