「夫は愛人宅で亡くなりました」葬儀にまで現れた女に慰謝料請求できる? 弁護士に聞いた
「夫が愛人宅にて亡くなりました」--。弁護士ドットコムに、こんな相談が寄せられている。
相談者によると、夫は不倫相手の自宅で息を引き取ったという。
夫を突然亡くした悲しみに浸るまもなく、不倫していた事実まで舞い込み、感情が大きく揺れ動いたことは想像にかたくない。
相談者は、夫の葬儀にまで姿を見せた不倫相手に慰謝料を請求したいと考えている。
配偶者の死をきっかけに発覚した不倫でも、相手に慰謝料は請求できるのか。そして「葬儀への参列」は、金額を左右するのか。男女の問題にくわしい森本明宏弁護士に聞いた。
●配偶者が死んだ後でも不倫慰謝料は請求できる
──夫の死亡によって発覚した不倫について、相手に慰謝料を請求できますか。
夫の死亡によって発覚した不倫であっても、相手に慰謝料請求をすることは可能です。
不倫(不貞行為)は、夫婦間の婚姻生活の平穏を侵害する行為であることから、民法上の不法行為(民法第709条)として慰謝料請求の対象となりますが、夫が死亡した場合であっても、生前の夫との婚姻生活の平穏を侵害されたことに変わりはないからです。
ただし、不倫相手に対する慰謝料請求権は、「損害及び加害者を知った時から」3年間行使をしないときは時効によって消滅してしまいますのでご注意ください(民法第724条第1号)。
今回の事案であれば、相談者が不倫の事実と不倫相手が誰であるかを知った時から3年間ということになります。
●遺族の感情を踏みにじると評価されうる
──不倫相手が葬儀に訪れたことは、慰謝料の増額事由になるのでしょうか。
慰謝料の金額は、不倫の期間や頻度、婚姻期間、不倫相手が女性であれば妊娠や出産の有無、不倫が発覚した後の不倫相手の言動などを総合的に考慮して決められます。
今回、不倫相手が亡くなった夫の葬儀を訪れたということです。
相談者が夫を失って最大の悲しみの中にある状況下で、親族や関係者が集う極めて厳粛な場である葬儀の場に押し掛ける行為と言うことができます。これは配偶者やその他遺族の感情を踏みにじるものと評価されうるものです。
この行為によって、ご相談者や遺族に対して更なるショック、不快感、屈辱感を与えることとなりますので、不法行為の悪質性を高める要素となります。
以上の理由により、不倫相手が葬儀に訪れたことは、慰謝料の増額事由として認められる可能性が高いと考えます。
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。2020年度、愛媛弁護士会会長。日本スポーツ法学会会員。
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/

