ネパール土石流、中国側からの情報不足に不満広がる…情報統制下で頼りの国営メディアは先端技術アピール
【上海=田村美穂】ネパールと中国の国境地帯で起きた大規模土石流で、中国の情報不足に不満が広がっている。
情報統制によって状況を知る手がかりは国営メディアの報道が中心だ。その国営メディアは、先端技術を駆使した救助を繰り返し報道し、国内外に技術力の高さをアピールする。
「複数の国の国民が被害に遭った。なぜ外国メディアを現地に入れないのか」
1日、中国外務省の記者会見で、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドの記者が質問すると、郭嘉昆(グオジアクン)副報道局長は「二次災害のリスクがある。被害状況と救助活動に関する最新情報を適宜発表する」と応じた。
被災地のチベット自治区は少数民族問題を抱え、外国メディアは自由に立ち入れない。豪公共放送ABCは被災地での取材許可を求めたが、認められなかったという。ロイター通信も2日、外国メディアが取材できず、「政府統制下の報道機関を中心とする限られた情報のみ」と報じた。
一方、中国中央テレビは発生直後から記者が現地入りし、中継する。大半が救助活動の様子で、被災者らの声は伝わってこない。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も「情報統制で被害者の家族は状況把握が困難だ」と発表した。死者、行方不明者数の公表も、ネパール側が1日に複数回実施しているのに対し、中国中央テレビの発表は4日夜時点で6回にとどまる。
情報の統制や不足に批判が広がったが、中国当局は「情報は公開され、透明で迅速だ」などと反発する。
その一方で、中国は連日、AI(人工知能)やドローンといった先端技術による救助活動を報道する。同テレビは、被災地に入るために大型のドローンで移動する救助隊員や、AIが搭載された観測機で、二次被害を防ぐ様子を伝えた。
中国はAIを国家戦略の中核に置き、科学技術の開発や活用に注力する。6月には救助活動などをまとめた計画で、各地方政府に対し「ドローンや無人艇、レスキューロボットなどの普及、活用を進める」ように求めた。土石流災害では、先端技術で二次被害を防げていると強調し、技術力の高さを主張している。
