Google DeepMindとGoogle ResearchがAIを使った新しい気象予測モデル「WeatherNext 3」を発表しました。リアルタイムの衛星観測データを取り込んで1時間ごとに予報を更新できるほか、従来モデルのWeatherNext 2と比べて空間解像度が最大約5倍に向上しています。

WeatherNext 3: Our most advanced global weather AI model

https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-deepmind/introducing-weathernext-3/

WeatherNext 3: More accurate, timely, and local weather forecasts - YouTube

天気予報では最新の観測データをどれだけ早く反映できるかが重要です。特に雨や嵐などは短時間で状況が変化するため、観測データを予報へ反映するまでに時間がかかると実際の天候との差が広がる可能性があります。また、海岸や山間部などでは数km離れただけで気温や湿度が大きく変わるため、予報範囲の細かさも重要になります。

従来のWeatherNext 2を含む多くのAI気象モデルは、スーパーコンピューターで物理法則を計算する数値予報モデルのデータを学習に使っていました。Googleによると数値予報モデルのデータには約6時間の遅れがあり、急激に変化する雨や地表付近の気温などを予測する上で課題になっていたとのこと。

WeatherNext 3では世界各地の静止気象衛星から得られる最新の観測データを直接取り込む仕組みを採用しました。衛星から得た大気の状態を予報に反映することで、新しい予報を1時間ごとに生成できるようになっています。



さらにWeatherNext 3は予報の細かさも向上しています。WeatherNext 2は約25km間隔で6時間ごとに予測していましたが、WeatherNext 3では地表付近の気温や湿度などを最小5km間隔で予測可能とのこと。

以下の画像はイギリスの地上付近の気温についてWeatherNext 2とWeatherNext 3を比較したものです。左側のWeatherNext 2は25km間隔、右側のWeatherNext 3は5km間隔で、WeatherNext 3の方が地形に沿った細かな気温の違いを表現していることが分かります。



降水は狭い範囲で急速に変化する雲の影響を受けるため、世界全体を予測する気象モデルにとって難しい分野のひとつですが、WeatherNext 3ではこうした雨や雪の予測も改善されています。WeatherNext 3はNASAの衛星降水データなどを学習に利用し、雨雲の形や範囲をより細かく予測できるようになったとのこと。

以下の画像は降水確率についてWeatherNext 2とWeatherNext 3を衛星観測と比較したものです。左がWeatherNext 2、中央がWeatherNext 3、右が衛星による観測結果で、WeatherNext 3では細長く伸びる降水域の形がより明確に表現されています。



WeatherNext 3はすでにGoogle検索やGeminiアプリ、Googleマップなどへの導入が始まっています。また、研究者や開発者はBigQueryやGoogle Earth Engine、Google Cloud Storageを通じて予報データを利用できます。

WeatherNext 3の予報を地図上で確認できる実験的サービス「Weather Lab」も用意されています。なお記事作成時点では日本からWeather Labにアクセスすると「Weather Lab is not available in your country or region at this time(お住まいの国または地域では現在利用できません)」と表示されて利用できませんでした。

Googleは大気には常に予測できない部分が残るとしながらも、実際の観測データから直接学習するWeatherNext 3によって、地上で起きている気象現象をより正確に反映する予報を目指すと述べています。