「朝食」を摂ると「コルチゾール」はどうなる?摂らない場合についても医師が解説!

朝食を摂るとコルチゾールはどうなる?メディカルドック監修医が朝食を摂らないとどうなるのか?朝食に何を食べたらいいのかなどを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

「コルチゾール」とは?

コルチゾールは、生命維持に欠かせない副腎皮質ホルモンの一つです。精神的・身体的な負担がかかると分泌が増えるため、ストレスホルモンと呼ばれることもあります。健康な状態では概日リズムに従い、起床前後に高くなり、その後は徐々に低下して夜間には低くなります。この変化は、日中の活動に必要なエネルギー利用や血圧の維持などを支えています。睡眠や生活リズム、強いストレスなどの影響も受けるため、コルチゾールは単に高い・低いだけでなく、分泌される時間帯や一日の変化も含めて考える必要があります。

コルチゾールはどこから分泌されるの?

コルチゾールは、左右の腎臓の上にある副腎から分泌されます。副腎は外側の皮質と内側の髄質に分かれ、コルチゾールは主に副腎皮質の束状層で作られるグルココルチコイドです。分泌量は副腎だけで決まるのではなく、脳の視床下部や下垂体が調節しています。ストレスや低血糖などの刺激を受けると、下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、副腎に作用してコルチゾールの産生を促します。さらにコルチゾール自身も脳へ働きかけ、分泌が過剰になりすぎないよう調節します。この仕組みは視床下部・下垂体・副腎系と呼ばれます。

コルチゾールの働き(役割)

コルチゾールは、日中の活動に必要なエネルギーを確保し、血圧や血糖を一定に保つなど、生命維持に重要な働きをしています。ここではコルチゾールの働きについて紹介します。

ストレスへの対応

精神的・身体的な負担がかかるとコルチゾールの分泌が増え、環境の変化に適応する反応を支えます。また、血糖値や血圧の維持に関わり、ストレスに対応するために必要なエネルギーを確保します。

糖代謝の調節

空腹時や睡眠中には肝臓で糖を作る糖新生を促し、血糖値の維持に関わります。また、インスリンと拮抗する形で働くことで、エネルギー供給のバランスを保つ役割も担っています。

脂質やタンパク質の代謝

糖が不足したときにはタンパク質や脂肪の利用を促し、エネルギー源を確保する働きがあります。特に長時間の絶食時には筋肉中のアミノ酸を利用して糖を作るなど、代替エネルギーの確保にも関与します。

血圧の維持

コルチゾールは血管に対するカテコールアミンの作用を支え、血圧を維持する働きがあります。そのため、コルチゾールが大きく不足すると血圧が低下し、立ちくらみなどが現れることがあります。

免疫機能の調整

過剰な炎症や免疫反応を抑える抗炎症・免疫抑制作用があり、この作用はステロイド薬による治療にも応用されています。さらに、炎症性サイトカインの産生を抑えることで、組織の過剰なダメージを防ぐ働きもあります。

朝食を摂るとコルチゾールはどうなる?

朝はコルチゾールが高くなる時間帯です。その後、朝食を摂ることでコルチゾールがどのように変化するのかをみていきます。

血糖維持におけるコルチゾールの役割が小さくなる

朝食を摂ると、睡眠中から続いていた絶食状態が終わり、食事からエネルギーが補給されます。絶食中はコルチゾールが糖新生などを促して血糖値の維持に関わりますが、食後は食事からエネルギーが供給されるため、絶食時の血糖維持におけるコルチゾールの役割は小さくなります。

コルチゾールが一時的に上昇することがある

食後には、コルチゾールが一時的に上昇することがあります。ただし、朝食後の反応は一定ではなく、食事を摂る時間や内容、個人の状態などによって異なります。

コルチゾールの日内リズムが保たれやすくなる

朝食を一定の時間帯に摂ることは、体内時計に食事のタイミングを知らせる刺激になります。規則的な朝食習慣はコルチゾールの日内リズムと関連しており、睡眠や起床時間などとともに、一日の分泌リズムを作る要素の一つになります。

朝食を摂らないとコルチゾールはどうなる?

朝食を抜くと、起床後も絶食状態が続くことになります。では、その状態が続くことでコルチゾールの分泌にはどのような変化がみられるのでしょうか。

コルチゾールが低下しにくくなることがある

習慣的に朝食を抜く方では、朝食を摂る方と比べて、午前中のコルチゾールの推移が変化することがあります。朝食欠食によって、起床後にみられるコルチゾールの低下が小さくなる可能性があります。

コルチゾールが昼食後に上昇しやすくなることがある

朝食を抜く習慣がある方では、朝食を摂る方と比べて、昼食後のコルチゾールの上昇が大きくなることがあります。ただし、食事に対する反応には個人差があります。

コルチゾールの日内変動が小さくなることがある

習慣的な朝食欠食では、朝から夜にかけてのコルチゾールの変動幅が小さくなることがあります。単純に一日中高くなるというより、通常みられる日内変動が平坦になる方向の変化です。

人は朝食に何を食べたらいいの?

朝食では、エネルギー源だけでなく、身体を作る栄養素や血糖値の急な変動を抑える食品も組み合わせることがポイントです。毎日の食事に取り入れやすい食品から選んでみましょう。

タンパク質を含む食品

タンパク質は筋肉や臓器などを作る材料となるため、朝食でも補いたい栄養素です。また、糖質だけの食事に比べて腹持ちがよくなり、食後の血糖値も急激に上がりにくくなります。具体的には、卵や納豆、豆腐、魚、ヨーグルトなどを取り入れるとよいでしょう。

炭水化物を含む食品

炭水化物は、睡眠中の絶食を終え、朝から活動するためのエネルギー源になります。ご飯やパン、オートミールなどを主食として取り入れましょう。なかでも玄米や雑穀米、全粒粉パンなどは食物繊維も補いやすいです。

食物繊維が豊富な食品

食物繊維は糖の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急な上昇を抑える働きがあります。また、腸内環境を整えるうえでも欠かせません。野菜やきのこ、海藻類などを、味噌汁やサラダ、副菜として朝食に加えると摂りやすくなります。

良質な脂質を含む食品

脂質はエネルギー源になるほか、細胞膜などを作る材料としても必要です。脂質の種類にも配慮し、不飽和脂肪酸を含む食品を適量取り入れましょう。青魚やナッツ類、オリーブオイル、アボカドなどをほかの食品と組み合わせる方法があります。

ビタミン・ミネラル源

ビタミンやミネラルは、エネルギー代謝や身体のさまざまな機能を支えるために必要です。主食や主菜だけでは不足しやすいため、果物や緑黄色野菜などを加えると栄養を補いやすくなります。例えば、キウイやりんご、ほうれん草、ブロッコリーなどを朝食に取り入れる方法があります。

「コルチゾールと朝食」についてよくある質問

ここまでコルチゾールと朝食について紹介しました。ここでは「コルチゾールと朝食」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

コルチゾール値が朝高いのはなぜですか?

林 良典(医師)

朝のコルチゾール値が高いのは、基本は正常な概日リズムによるものです。コルチゾールは起床前から増え、起床後さらに上昇する反応がみられます。これはコルチゾール覚醒反応と呼ばれ、血糖値や血圧を保ちながら、日中の活動に備えるための生理的な仕組みです。

朝のコルチゾール値を減らす方法について教えてください。

林 良典(医師)

正常な朝の上昇を無理に減らす必要はありません。睡眠や生活リズムを整えることを基本に、朝食を含めた規則的な食事を心がけます。起床時刻が大きくずれないようにし、朝は光を浴びることも体内時計を整える手がかりです。強い疲労や不眠などが続く場合は、コルチゾールだけを自己判断で調整しようとせず、病院へ相談してください。

まとめ朝食はコルチゾールの分泌リズムを整えるために大切!

コルチゾールは、副腎から分泌され、ストレスへの対応や血糖値、血圧、代謝、免疫機能の調節に関わるホルモンです。健康な状態では朝に高く、夜に低くなるリズムがあります。

朝食を摂ることは、長時間の絶食を終え、コルチゾールの日内リズムと関連する生活習慣の一つです。ただし、朝食を抜いたからといって、必ずコルチゾールが過剰になるわけではありません。朝食では、ご飯やパンなどの主食に、卵や魚、大豆製品、野菜、果物などを組み合わせ、必要な栄養を補いましょう。

「コルチゾール」と関連する病気

「コルチゾール」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内分泌系

クッシング症候群副腎皮質機能低下症

ステロイド離脱症候群

クッシング症候群ではコルチゾール作用が過剰になり、副腎皮質機能低下症では必要なコルチゾールが不足します。長期間ステロイド薬を使用した後に急に中止すると、副腎不全の症状が現れることもあります。原因によって治療が異なるため、コルチゾールの異常が疑われる場合は自己判断でステロイド薬を増減せず、病院で評価を受け、医師の指示に従ってください。

「コルチゾール」と関連する症状

「コルチゾール」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

強い疲労感

立ちくらみ

血圧の変化

筋力の低下

睡眠の乱れ

集中力や気分の変化

これらはコルチゾール以外の原因でも起こるため、症状だけからホルモンの異常を判断することはできません。疲労や立ちくらみなどが長く続く場合は、生活習慣だけの問題と決めつけず、症状が強い場合や日常生活に支障が出ている場合は、病院で原因を確認するようにしましょう。

参考文献

副腎|東京女子医科大学高血圧・内分泌内科

交代制勤務者の食生活に関する留意点|厚生労働省e-ヘルスネット

Female breakfast skippers display a disrupted cortisol rhythm and elevated blood pressure|PubMed